たまには自分語りでも。

 ぼくが小学生の頃、ほかの本の解説などでしばしば話題に上るトールキンの『指輪物語』を読んでみたいと思い立った。いわずと知れた『ロード・オブ・ザ・リング』の原作である。

 が、近所の書店には売っていない。そこで、学校図書館に取り寄せてもらおうと思い、担当教師に相談した。

 ところが、たまたまそれを聞いていた女の子たちがはやし立ててきた。「やだ、そんな本を読んでいるの」、「それ、女の子が読むものよ」などなど。その頃、たまたま同名の少女漫画が連載されていたのである。

 ぼくは教師と彼女たちに説明した。違う、その漫画じゃなくてイギリスの小説なんだ、ファンタジーの源流といわれる作品で、とてもおもしろいらしいんだよ。

 いまだったら、『ロード・オブ・ザ・リング』があるから、すぐにわかってもらえただろう。しかし、そのときは無理だった。

 彼女たちは耳を貸そうとせず、担任教師はあいまいに返事をするばかりで、結局、この話は有耶無耶になってしまった。

 この体験から、ぼくはひとつの教訓を学んだ。趣味のことについて他人に相談しても無駄だ、どうせわかってはもらえない、と。そして『指輪物語』は自力で入手した。

 いまでも、趣味にかんして的外れな揶揄を受けると、このときのことを思い出す。そして、まあ仕方ないか、と考える。

 どうせ全員にわかってもらうわけにはいかないのだ。わかるひとだけわかってくれればそれでいいや。