ロンド・リーフレット

ロンド・リーフレット

 Little witchの最新作。発売間近なので、体験版をプレイしてみた。

 今回はヴィクトリア朝大英帝国を舞台にした執事もの。破産寸前の貧乏貴族に雇われた問題執事のお話らしい。

 執事協会に命じられ、仕方なくその家に来たものの、当主は粗暴な小娘、先代執事はたぬきじじい、御者はアル中、メイドたちにはやる気なし――と常識外れの人物ばかり。これからいったいどうなるの?という、まあ、定番のお話ですね。

 たぶんこれから主人公が孤軍奮闘してこの傾きかけた名家を立て直す物語になるのだろうが、コメディとして見ると全体にちょっとキャラが弱い印象はぬぐえないかな。

 「執事協会始まって以来の問題児」といわれる主人公にしてからが、そこまでの人物には見えないからなあ。ふつうに口が悪くてやる気のない奴じゃないかと。

 設定の魅力にじっさいの物語が追いついていない印象です。骨格はいいけれど肉付きはいまひとつ、というところか。とはいえ、画面細部の凝りに凝った装飾は、さすがに並のエロゲの追随を許さない。『らくえん』あたりとは比較にならない。

 今回は例のFFD(フローティングフレームディレクター)システムは最小限にとどめられ、わりと普通のエロゲに仕上がっている。

 FFDは「動く漫画」ともいうべき興味深いシステムだったが、膨大な製作コストがかかりそうなので、今回不採用になったのも仕方ないかと。素人目で見てもやたらに手間がかかりそうだもんなあ。

 また、端役脇役も含め完全に音声付き。ぼくはエロゲには必ずしも声はいらないという立場だったけれど、どうせ音声付きなら全員に声をあててもらいたいと思う。

 男性だけ声がないのは違和感がありますからねえ。たとえばアニメで男性キャラだけ声がないということはありえないわけで、ゲームではそれが成り立つというのは不思議な話。

 ただ、全体に早口だった『らくえん』と比べてみると、エロゲであまり緩急をつけた演技をされるといらいらする、ということがわかります。

 先に目で台詞を読んでしまうので、その上でゆっくり話されると飛ばしたくなるんですね。会話のテンポは悪くないので、聞いていられるほうだとは思いますが。

 まあ、体験版だけではまだ何とも言えませんが、いまの時点ではかなりおもしろい作品です。19世紀末の時代考証も、それなり。胸に大きなリボンが付いたメイド服はありえませんが、エロゲなんだからそこは突っ込むな。

 ただ、登場人物の態度や口調がまるっきり現代そのもので、まるで19世紀を感じさせないのはどうなのかと。100年以上前の人物に「エッチな夢見ちゃったよ〜」とか言われてもな。

 べつに時代小説みたいなものを求めているわけではないけれど、もう少し背景設定に配慮しても良かったんじゃないかと。そもそも無給で働いているはずのこの執事たちはいったいどうやって食べているのか、そこが非常に不思議です。

 『らくえん』みたいな畸形的傑作もいいけれど、やっぱりこの手の穏便な佳作も欠かせないよね。発売されたら買うかも。