らくえん ~あいかわらずなぼく。の場合~

らくえん ~あいかわらずなぼく。の場合~

「……みかみはさ、あたしのお姫様なんだ。世間知らずでぼんやりしてて、あぶなっかしくて」
「うん」
「ホントはあたしが守ってあげたいんだけど。ふたりは面倒みきれないからね……。あんたに任すわ」
「うん」
「幸せにしろとは言わないけどさ、幸せになりなよ?」

 終わった〜。御守みか(「みかみみか」と読む)ルート、クリア。

 いやあ、おもしろかった。客観的に見ればたいして優れたゲームとはいえないかもしれないけれど、プレイしていてこんなに楽しかったソフトはひさしぶり。ぼくのなかでは『月姫』や『アトラク=ナクア』に匹敵する殿堂入りの傑作といえる。

 どれくらいおもしろかったのかというと、ようやく終わったばかりだというのに、もう一度初めからプレイしなおしたいくらいなのである。

 ちなみにエロゲで音声を飛ばさずにプレイしたのは初めて。声優陣の好演も素晴らしかった。双子の妹のかたわれ、亜季のシナリオではこの声優という職業にスポットがあたるのだが、亜季役の声優さんの演技は圧巻である。

 さて、最後にまわしたみかルートでは、それまでほとんど出番がなかったミニミソフトのスター原画家、御守みかにスポットライトがあたる。

 ふとしたら偶然から主人公は彼女と仲良くなるのだけれど、ここらへんはいかにもエロゲ的なご都合主義的展開で、あまりおもしろくない。むしろ興味深かったのは、みかと可憐たちが協力してミニミソフトを立ち上げた3年前の出来事。

 大学を卒業しても就職できなかった男ふたりが、美大生のみかと可憐をひきずりこんで作ったこのソフトハウスは、結局、みかを中心とした恋愛沙汰によって崩壊してしまう。

 「G以上J以下」の巨乳キャラ(自称「ホルスタイン原画家」)で、ほんわかと愛想の良いみかは、そういったトラブルのもとなのだ。作品内には記述がないが、たぶん学生時代にもその種のトラブルをひき起こしているに違いない。

 で、結局、渦中の男ふたりは喧嘩別れし、ムーナスはミニミソフトから独立することになる。それから3年後、主人公がムーナスへやって来て、そして物語は始まるわけだ。

 結果的には崩壊してしまったわけだが、友達どうしでわいわいがやがや言いながら運営していた3年前の頃のミニミソフトは、きっともうひとつの楽園だったのだと思う。めちゃくちゃ楽しそう。

 それにしても、このシナリオではみかよりもむしろ可憐の男前っぷりが印象にのこる。いやあ、みかが惚れるわけだ。このふたりの美大時代の貧乏同居生活も楽しそうだなあ。

 可憐がみかを「あたしのお姫様」と呼ぶシーンは印象深い。そういう自分だってお姫様のくせしてね。無自覚モテ属性のみかはたぶん同性の友達が少ないタイプだと思う。

 家出してきた可憐とみかが美大で出逢って同居するまでの経緯もいろいろとあるのだろう。妄想はふくらむ。いいゲームだなあ。

 これからプレイするひとには沙絵→亜季→杏→可憐→みかの順番でプレイすることをお奨めする。少なくともみかは最後にしたほうがいい。このシナリオの最後に待ち受けるメタメタな展開は、『らくえん』というメタエロゲのフィナーレにふさわしい、じつに秀逸な代物だ。

 さて、あとはおまけのショートシナリオをのこすのみ。これをクリアしたらネタバレを書きます。