NHKの朝の連続テレビ小説芋たこなんきん』がなかなかおもしろいので、その主人公のモデルである田辺聖子の本を読んでみようと思い立った。

 そこで、以前から読んでみたいと思っていた大部な評伝『ゆめはるか吉屋信子』に手を出すことにした。小説より楽に読めるだろう、というくらいのきもちだった。

 ところが、いざ読みはじめてみると、これがおもしろい。まだ読みはじめたばかりで言うのもなんだが、上下巻で1000ページを越す分量が気にならない。

 吉屋信子は明治から昭和にかけて活躍した作家である。センチメンタルでロマンティックな少女小説を物し、その時代の少女たちを熱狂的させた。

 どこまでも耽美かつ女性中心的な作風は、時代に何十年も先駆けていたといっていいだろう。フェミニズムなき時代のフェミニスト

 田辺は吉屋の颯爽たる人生を、資料から丁寧に浮かび上がらせていく。これがおもしろくないわけがない。

 いつの時代にも偏狭で傲慢な男はいるものだが、むろん、明治の昔にはいまよりはるかに酷かったはずだ。吉屋は彼女一流のロマンティシズムでそれに対抗し、一生涯、男性社会に媚びることなく過ごした。その凛冽とした生き方は、きょうの目から見ても魅力的である。

 いやあ、ぼく、好きなんだよね、吉屋信子の小説。最近、百合ものが妙に流行っていることでもあるし、この機会に再評価が進むといいなあ。