らくえん ~あいかわらずなぼく。の場合~

らくえん ~あいかわらずなぼく。の場合~

「後悔するかも」
「後悔すればいい」
「苦しむかも」
「苦しめばいいさ」
「堕落だよ」
「堕落でもかまわない。堕ちるのが、オマエといっしょなら」

 最高傑作級っ!

 ていうかもう、最高傑作っ!

 なんだこのゲームは。おれのために作ったのか。おれだけのために作られたのか。めちゃくちゃ、めちゃくちゃ、めちゃくちゃおもしろかったよ。

 どうでもいい内容の萌えゲとか、かんちがい気味の燃えゲとか、お話にならないバグゲとかに費やした無駄な時間が今! 倍返しで報われた気分だぜ!

 いや、じっさいこれは傑作。信じてくれないかもしれないけれど、ほんとに傑作。それどころか隠れた名作と言い切ってもかまわない。まだ5分の1しかクリアしていない時点でここまでいうのだから、ぼくの興奮、推して思うべし。

 『Fate/stay night』と同じ2004年の発売だから、もしリアルタイムでプレイしていたなら『Fate』とその年のベストを争うことになっていたと思う。

 もちろん、『らくえん』は『Fate』みたいに万人向けのエンターテインメントじゃない。そもそも題材が業界ものという時点でひとを選びまくっているし、登場人物はあくの強い奴ばかり。売り上げも『Fate』の10分の1以下じゃないかな。

 それでもぼくはこの作品を『Fate』に匹敵する傑作と称えることを躊躇しない。

 とにかく遊んでいるあいだじゅうこんなにしあわせなゲームは初めて。ヒロインも含めた登場人物みんな、ダメなうえにもダメなエロゲヲタばかりだけれど、それでも、いや、だからこそ、ぼくはこいつら、大好きだ。

 物語の舞台は弱小エロゲメーカー、ムーナス(「moonearth」と書く)。受験のために上京したはずが、なぜかこの会社で働くことになってしまった名無しの主人公は、受験勉強を放り出して新作製作に没頭する。

 開発序盤でライターが逃げ出すわ、親会社はヤの付く職業だわ、トラブル続きの製作だが、次第にかれはこの世界の奥深さにめざめていく。

 なにしろ登場人物がエロゲ関係者ばかりだから、自然と物語はメタエロゲの様相を呈することになる。

 会社に妹をつれていけば「リアル妹キャラだ」「もうやったの?」と訊ねられるし、あたりまえの日常会話にも大量のアニメ用語、ゲーム用語、2ちゃん用語が説明もなく使用される。

 このことを取り上げて、本作を「ディープなオタクにしか理解できない作品」と評するひとは多い。というか、ほとんどのひとがそう捉えている気がする。

 でも、違うと思う。オタクとかエロゲといった要素は表層的なものに過ぎない。たしかに鋭い演出が冴えわたるコミフェの解説は爆笑ものだが、作品の本質はべつのところにある。

 この作品の本質はストレートな青春ものなのである。何もかも適当にこなしてきた主人公は、ダメ人間ぞろいのムーナスに「らくえん」を見出す。何もないくせに何もかもそろっている、最低で最高の楽園。

 そして物語は思いもよらぬリリカルな展開へ転げ込んでいくのだが――なにしろまだひとりぶんのシナリオしかクリアしていないので、この続きはあした。さて、つづきをやるか。眠いけど。