きょうの午後9時から、ドラマ「白虎隊」が放映されますね。

 ぼくは小学生のときの修学旅行でこの白虎隊の史跡を訪ねました。木刀とか買って帰った憶えがあります。痛いガキです。

 ここで言う白虎隊とは、会津戦争に際して会津藩が組織した少年部隊のことを指します。そのなかでも有名なのは若松城が火に包まれたのを見た、とかってに思い込んで相次いで自刃して果てた19名の少年たちです*1

 この壮絶な自殺劇がなければ、いま白虎隊を知る者は一部の歴史通くらいにとどまっていたでしょう。

 いいですよね、自殺。やっぱり日本人は自殺好きだと思うんですよ。『忠臣蔵』にしても、結局はさいごに腹を切ったからこそあれほど有名になれたのであって、もし幕府から切腹の沙汰がなければ国民的物語になることはなかったでしょう。

 たぶん日本人には、生き恥をさらすくらいならいさぎよく腹をかっさばいて死ぬべきだ、という美意識がどこかに存在するんでしょうね。

 何が何でも生きのこることが正しいと思っているお国柄なら、赤穂浪士や白虎隊が人気者になるはずがない。

 そういう日本人らしくぼくも自殺話は大好き。三島由紀夫の「憂国」は傑作だと思います。

 ただ、修学旅行のときは、わざわざこういうところにつれて来るのは、おまえ等もいざというときはちゃんと死ねよという意味かと思い、ちょっといやな気分でした。

 まあとにかくかように自殺は日本人の心をときめかせるのです。それも白虎隊の場合は年端もゆかない少年たちの集団自殺ですから、なおさら悲壮感を煽ります。

 ウィキペディアによれば、会津藩にはほかにも、玄武隊、朱雀隊、青龍隊などの部隊が存在したということですが、そんなもの、だれも知りません。自殺しなかったからです。

 皆さんも、自殺するべきかどうか迷ったら、この故事を思い出して決意を固めましょう。

 ちなみに白虎隊の死に様がいまに伝わっているのは、飯沼貞吉という少年が一命を取り留めたからです。

 当時、ひとりだけおめおめと生きのびてしまった飯沼には非難が集まったとか。それはそうでしょう。やっぱり壮絶に自殺してのけてこそのロマンというものですから。

 もし飯沼がブログを運営していたら炎上していたに違いありません。はてなブックマークでは「死ねばいいのに」タグが乱舞したことでしょう。よかったね、ネット時代に生まれなくて。

 とはいえ、かれが生きのこっていなければ白虎隊の少年たちの死に様はいまにのこらなかったわけで、飯沼は白虎隊神話の犠牲になったといえるかもしれません。

 いやあ、可哀想に。自分もちゃんと自殺したかっただろうに。自分ひとりだけ生きのこったと聞かされたときのかれの心境はどんなものだったでしょう。それこそ死にたいきもちだったのではないでしょうか。

 そんなこんなで、新春時代劇『白虎隊』、おすすめです。見ませんが。

 午後9時からチャットを行います。参加歓迎です。

*1:じっさいにはそのまわりの市街が燃えていただけだったらしい。悲劇的な勘違いである。狭い日本、そんなにあわててどこで死ぬ。