英雄伝説VI 空の軌跡 通常版(DVD-ROM版)

英雄伝説VI 空の軌跡 通常版(DVD-ROM版)

 第3章クリア。

 いよいよ、この物語の全編を貫く陰謀の正体があきらかになった。それまで個々の事件の陰に隠れていた黒幕が姿をあらわすとき、さいごの冒険の幕が切って落とされる。いざ、王都へ。女王陛下を救うのだ!

 というわけで、長い旅もついにクライマックスを迎えようとしている。といっても、まだ「SC(セカンド・チャプター)」が丸々のこっているので、実は旅路はようやく半分というところなのだが、まあ、一区切りは間近。

 長篇RPGをさいごまでプレイするのなんて何年ぶりだろうなあ。これは良いゲームだよ。いや、ほんと。そのよさはいろいろな角度から語れると思うが、前回宣言したことでもあるし、キャラとシナリオの話をしようか。

 以前もちらっと書いたが、この作品の主人公はエステルという少女である。物語は彼女の父カシアスが、ヨシュアという名の少年を家に抱え込んでくるところから始まる。

 カシアスはヨシュアを家族として受け入れ、エステルとヨシュアはきょうだいのように仲良く育つことになる。

 それから数年後、ふたりはカシアスがいずこかへ旅立つのと合わせるようにして、準遊撃士として活躍するようになるのだが――というのが大筋の話。そこに放浪の学者からうるわしの王女まで、無数の人物が絡んでいくことになる。

 当然、魅力的なキャラクターには事欠かないわけだが、しかし、正直、素晴らしく個性的な人物がいるかというと、特に思い当たらないことも事実。

 キャラクターデザインも含め、どの人物もどこかで見たような造形で、印象が弱い。もっというなら、世界設定にしろ、シナリオにしろ、この作品には独創的なものはほとんどない。

 王国を揺るがす軍部の陰謀だの、封印された古代帝国の秘宝だの、どれも皆既視感のある代物ばかり。そういう意味では、決して名作とか傑作といえるような作品ではないかもしれない。

 しかし、このゲームの長所は、そのありふれた素材を料理する手際の丁寧さにある。たしかに際立った長所はないかもしれないが、システムといい、バランスといい、実によく練り上げられている。

 エンカウントの頻度や、レベルアップのタイミング、謎解きの難度、そういった細部のいちいちが丁寧に調整してあって、ストレスを感じさせないのだ。

 先述の登場人物にしても、激しい個性を欠くかわりに、好感がもてるように描写されていると思う。はじめはヨシュアのことを家族としか思っていなかったエステルが、旅路のさなかに次第にかれを異性と捉えていくくだりなど、それはもう初々しい。

 たしかに筋立てだけみればよくあるラブコメディではある。しかし、良いものは何度繰り返しても良いのですよ。

 そういうわけで、傑作というほどではないにしても、優等生的な秀作とは十分いえる作品だと思う。最後にとんでもないどんでん返しが待ち受けてでもいないかぎり、この評価が揺らぐことはないだろう。……待ち受けていないよね?