しゃにむにGO (24) (花とゆめCOMICS (3006))

しゃにむにGO (24) (花とゆめCOMICS (3006))

「……確かに こんな恵まれた機会は一生に一度あるかないかですね では 見守っていて下さい この状況で頑張ってない子なんて いないんですよ」

 ひとりは元陸上部のスーパーヒーロー。他を圧倒する走りでその名を全国にとどろかせながら、あっさり陸上を捨てテニス部に入った伊出延久。

 いまひとりは地に墜ちた天才少年。ジュニア時代は全国屈指の選手として知られながら、精神的な問題に悩みその実力を発揮しきれずにいる滝田留宇衣。

 あらゆる面で正反対のふたりは、偶然にも高校のテニス部で出逢う。そしてそこからかれらはお互いを発奮させあうライバル関係となるのだった。

 この第24巻では、その延久と留宇衣が同時にスランプに陥る。延久の悩みは恋愛絡み、陽気なかれはすぐに立ち直るが、留宇衣の悩みは深刻だ。

 実はかれはこの連載が始まったときから、ずっと同じことで悩んでいる。精神力の弱さ。ときに炎天下で何時間もラリーを続けることになるテニスでは、それは致命的な欠点なのだ。

 いくらなんでも24巻も悩めば、なにか光明が見えてきそうなものだが、そうはならないのがこの作品のおもしろさ。シリアスでディープな心理描写はスポーツ漫画随一のものがある。

 遠い先を見据えてまっすぐに成長していく延久に対して、留宇衣はいまも泥沼に足を取られて動けずにいる。いったいかれがどうやって闇を抜け出すのか、ぼくはどきどきしながら見つめている。

 まさかここまでひっぱって、さいごまで復活できないままということはないとは思うけれど。

 あと、この巻では留宇衣の幼馴染み魔子ちゃんがいい味を出している。いや、ほんと、いい子だなあ。頑張って留宇衣を落としてほしいものである。