ニッポンのマンガ (アエラムック―AERA COMIC)

ニッポンのマンガ (アエラムック―AERA COMIC)

 「AERA」の増刊。非常におもしろい。インタビューに対談に、いまを時めく漫画家たちの素顔が覗ける一冊である。

 なかでも印象的だったのは、よしながふみの静かに現実を受け容れる態度。彼女の作品がもつ凛としたしなやかさは、そこから来ているものなのだろうか。

 同時に、そういえば、高河ゆんの〈源氏〉にそんな一場面があったな、と思い出した。

 平清盛に仕える嵯峨空也は、その清盛に捨てられた白拍子の少女を祗王寺へと連れていく。そこでは、彼女自身かつて清盛の愛妾であった女性祗王が、かれの無事を祈願していた。

 ただ一時愛された思い出だけで、ここまでできるものなのか、と問い質す空也に対し、祗王は平然と言ってのける。

「仕方がありませんわ 英雄色を好むと申します 女は華でございます 咲いて散るものです それが運命です 華と生まれたことになんの不満があるでしょう」

 そんな言葉を受け、空也は呟く。

「……わたしは「仕方ない」という言葉が好きです あきらめよりも何か決意を感じさせます」

 そう、この「仕方ない」という言葉は、人間が生きていく上で大きな助けになるものだと思う。

 人生で身の上に降りかかってくる災難は、どれも不条理なものばかり。不平不満を募らせれば切りがない。どこかでこれも仕方ないと切り捨て、立ち上がるよりほかはないのだ。

 勿論、よしながふみ高河ゆんの姿勢がどこまで重なるかはわからないが、ふと、そんなことを考えさせられた一冊だった。漫画好きにはおすすめ。