上記エントリのコメント欄で、id:tonboさんが「それとこれは前々から思っていることですが、書評(あるいは感想)の多くは、未読の人に向けて書かれてないように思います」と書いている。まあ、そうだろうな。

 それでは、未読のひとを意識していない書評とはどのようなものなのだろうか。じっさいに具体例をあげて説明してみたいと思う(いまさら書かなくても過去ログに載っているじゃないか、とか言うな)。

 題材は〈DEATH NOTE〉。念のためにいうと、これはあくまでサンプルにするための文章であって、ぼくの意見そのものではないからご注意を。

評判のいい〈DEATH NOTE〉を読んでみた。うーん、デスノートのルールが複雑すぎて憶えきれないのがだめかも。あと、月の性格がきらい。自分だけがあたまいいと思っている感じがするから。Lはわりと好きかな。でも、あの座り方はないと思った。リュークも好き。

 おわかりだろうか。この文章では、月やLやリュークとはだれなのか、デスノートとはなんなのか、まったく説明されていない。それに非常に主観性が強い。

 もちろん、プロの書評ではないのだから、説明がなくてもいいし、主観的でもいいのだが、もう少し読者を意識すれば、それだけで間口が広くなると思う。

 この文章を、もう少し説明的に書きなおしてみると、こんな風になる。

評判のいい〈DEATH NOTE〉を読んでみた。天才的頭脳をもつ高校生の夜神月(やがみ らいと)が、名前を書き込むだけでひとを殺せる「デスノート」を使って社会を変えようとする話。でも、デスノートのルールが複雑すぎて憶えられない点はマイナス。あと、月の性格は良くないと思う。読者に自分だけがあたまがいいと思っている印象をあたえる。月を捕まえようとする名探偵Lのほうはわりと好印象。でも、あの椅子に足をのせる座り方はないと思った。月にデスノートをあたえる死神のリュークも好きだ。

 文章量が倍近くになってしまったが、これくらい説明を増やすと、未読のひとにもわかりやすくなっていると思う(たぶん)。また、多少客観性が増した印象をあたえるだろう。

 まず作品の内容を簡単に説明し、デスノートという言葉がなにを指しているのかも説明する。夜神月が主人公であること、Lがその宿敵であること、そしてリュークが死神であることも書いておく。

 これだけで文章のあたえる印象はだいぶ違う(違うって言え!)。つまり、未読のひとが知らないことに配慮して説明を加えているのだ。

 自分の手で運営している個人サイトに載せる以上、なにを書こうが本人の勝手ではある。いちいち読者を意識して文章なんて書いていられるか、というひともいるだろう。

 そういうひとはそういうひとで書きたいものを書いていればいい。でも、少し読者を意識すれば、それだけでコミュニケーションの幅は広がっていく。

 せっかくブログに文章をのせる以上、少しは読者のことをかんがえたって悪くないと思う。まあ、ぼく自身、どれだけ配慮できているかは微妙なところなのだけれど。