月刊 COMIC (コミック) リュウ 2006年 11月号 [雑誌]

月刊 COMIC (コミック) リュウ 2006年 11月号 [雑誌]

 新創刊の漫画雑誌。

 巻頭は宮部みゆき原作の「ドリームバスター」。描き手は先日、SFアクション大作「破壊魔貞光」を(いまひとつ駆け足だったものの)完結させた中平正彦。これはおもしろくなりそうです。

 それに続くは京極夏彦原作の「ルー=ガルー」。京極作品ほど漫画化に向かない小説もないような気もするのですが、意外とよくまとまっています。

 どうもこの雑誌は小説作品の漫画化をメインに据えた編集方針らしいですね。その証拠に鶴田謙二梶尾真治の「おもいでエマノン」をコミカライズしている。

 ありえない遅筆さで有名な鶴田さんですから、来月もちゃんと載っているといるか不安。「Forget me not」の続編はもう描かれないのでしょうか。あいかわらず絵は素晴らしく綺麗です。

 ほかにも、安永航一郎とか、ふくやまけいことかベテランの漫画家がそろっていて、安定感のある紙面になっています。

 ベテランといえば、この雑誌の目玉はなんといっても吾妻ひでおの新作ギャグ漫画「不条理日記2006」でしょう。今回は「失踪日記」みたいな地に足のついた話じゃなくて、完全なSFギャグ漫画。

 往年の「不条理日記」をそのまま現代にもってきて、なんとも異様なスラップスティック・コメディに仕上げています。

 その切れ味はまだまだ全盛期には及ばないかもしれませんが、しかし次々と繰り出されるアイディアにはやはり迫力がある。日常とSFが渾然一体といりまじった超常の不条理宇宙。

 また吾妻ひでおのこの手の漫画が読める日が来ようとは。しかし、まあ、こんな破天荒な作家が「SF作家」として認められていたんだから、全盛期のSF界は心が広かったですね。また失踪しない程度に頑張ってもらいたいものです。

 ちなみにパロディの元ネタはイーガンとシモンズと京極夏彦くらいしかわかりませんでした(あと、「エヴァ」と)。もっと最近のSF読まないとあかんなあ。

 というわけで、なかなかおもしろい漫画がそろっていると思います。ただ、ベテラン作家が多すぎて、いささか新鮮さに欠けることは事実。

 ひとむかし前のオタク向け雑誌、という気がする。これからフレッシュな新人を発掘していかないと、発展性には乏しいかも。

 そういえば、来月からはなんと田中芳樹道原かつみの「銀河英雄伝説」の連載が予定されているそうです。

 いままで「少年キャプテン」、「Chara」と移籍しながら連載されてきた作品ですが、まさか続きが描かれることがあろうとは。吾妻さんの件といい、長生きはするものですね。

 既刊11巻で原作における第2巻の最後、ジークフリード・キルヒアイスが夭折するところまで描いているので、今回は原作の第3巻以降が描かれることになるのだと思う。

 道原かつみの漫画を読むのもひさしぶりだし、これは素直にたのしみ。だからたぶん次号も読むと思います。遠藤浩輝のあいかわらずエロい短篇も後篇の内容が気になることではあるし。