ゼロの使い魔 (MF文庫J)

ゼロの使い魔 (MF文庫J)

文章にうまいヘタがあると思ってる連中はやっぱりアホウだと思う。言葉ってのは要するにレゴブロックで、結局そこにあるのは組み合わせでしかない。レゴを組み合わせて、頭の中にある何かに近づける。レゴだけにそこには完璧はなく、またその造形による優劣はない。一にならない0.9999をつきつめて、小説を作ろう。2006年はそんな年にしよう。今日も小説を書いています。この仕事につけて、俺はほんとうによかった。

 いや、レゴの組み合わせにだってうまいへたはあるだろ。

 レゴだって組み立て方しだいでは巨大な城をつくることもできるわけで、レゴだから造形による優劣はないなんていえるはずはない。

 たしかに文章は既存の単語の順列に過ぎない以上、そこに完璧はないかもしれない。しかし、それを承知の上でかぎりなく完璧に近づけていく作業こそ、作家の仕事じゃないのか。

 と、思わず文句をつけてしまうようなことを日記に書いていたヤマグチノボルのヒット作。

 かぎりなくありがちな異世界召還もので、借り物そのまま流用している世界設定の薄っぺらさがちょっと凄い。

 既存のファンタジーの世界設定をそのまま使いたおしたライトノベルは、「スレイヤーズ!」あたりを嚆矢とするのだだろうが、それにしても工夫のくの字も見当たらない世界である。

 「ドラクエ」か「FF」の設定に「ハリー・ポッター」を足して、2より大きい数字で割ったような感じ。この作家独自の想像力がまったく使用されていない気がするのは気のせいですか。

 キャラクターも非常に類型的な水準にとどまる。ツンデレの鋳型に嵌めてとりだしたようなルイズをはじめとして、お色気要員のキュルケ、気障なナルシストのギーシュ、とどっかで見たようなキャラばかり。

 あと、なんか長門みたいなクーデレ系の子もいたような。そういえば、メイドもひとりいた。あざといなあ。

 主人公が武器をもつとからだにルーン文字が浮かび上がり急につよくなるという設定も安易だと思う。あらゆる意味でライトノベルのテンプレートの域を出ていない。まあ、ツンデレルイズは萌え萌えなんですが。

 というわけで、非常におもしろい作品でした。やっぱりライトノベルはこうでなくちゃ。オリジナルな世界設定がいると思う奴は「十二国記」でも読んでいろ。ぺっぺっ。

 まあ、たんなるライトな願望充足ものには違いないんですが、ぼくはライトな願望充足ものが大好きだからいいんだよ。

 とにかくライトノベルのお手本にしたいくらい基本に忠実で、隙がない。オリジナリティなんてかけらほども見当たらないけれど、既存の設定を巧みに組み合わせてエンターテインメントに仕上げているということもできる。

 たしかにお世辞にも名作とか傑作というしろものではありませんが、これはこれでいいんじゃないかな。たぶんぼくが小学生だったらめがっさおもしろがっていたと思う。

 よくも悪くもまさにライトノベル、という印象でした。次も読もうっと。