- 作者: 古屋兎丸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/09/09
- メディア: コミック
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「彼女を守る51の方法―都会で地震が起こった日」を原案とする震災漫画。
「アルプステレビ」へ就職活動に訪れた青年を主人公に、直下型地震に襲われたお台場を描いています。
未曾有の大災害のさなか、かれはたまたま出逢った昔の同級生を守ることを決意する――って、ちょっと設定が安易ですね。主人公が彼女を守ることを決意するまでの展開に少々無理があるかと。
あと、どうもこの日はコミケ当日らしく、同人誌を抱えた男たちやコスプレ姿の少女たちが歩いているのが苦笑ものです。場所がお台場だからってなにもそんな設定にしなくても。
もうひとつ、直接漫画にはかかわりないことですが、巻末で「あしたにも地震が起こるかもしれない!」と煽っているのがひどく気にさわります。これは「アニマート」でもそうでした。
「人類が経験したことのない最悪の危機が東京を襲う」とか、「死ぬまでに最低2回の巨大地震に遭う」とか、たしかな根拠があるとも思えないことをつらつらとならべ立てすぎですよ。
もちろん、あしたにも大地震が起こって首都が壊滅することも本当にあるかもしれないません。しかし、だからといっていいかげんな情報で不安を煽って漫画を売ろうとするのってどうなんだろ。
アルプステレビやゆりかもめをはじめとする実在*1の建物や施設のあついかいもずいぶん乱暴だし、どうも企画の段階で問題があるように思う。まあ、「コミックバンチ」だしね。
じっさいに漫画をかいている古屋兎丸は頑張っていると思われるだけに、ちょっと残念でした。
*1:アルプステレビはもちろん実在のテレビ局ではないが、モデルはあきらかである。