- 作者: 琴義弓介
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2006/08/07
- メディア: コミック
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いま、ひそかに災害漫画が流行しはじめている――ような気がする。
小松左京&一色登希彦の「日本沈没」、高嶋哲夫&八坂孝訓の「アニマート」、古屋兎丸の「彼女を守る51の方法」、そして本作。いずれも都市が大災害によって壊滅に追い込まれた時代を背景に、ひよわな現代人のサバイバルを描いた作品だ。
この作品の場合、「第二次関東大震災」によって東京が崩れ去る場面から物語が始まる。主人公の少年は偶然出会った女性を助けたことから、彼女のなかにひそむもうひとりの人格「ピリオド」と対決することになる。
こういった災害ものや戦争ものの場合、どのような視点から物語を紡ぐかによって作品の内実が変わってくる。この作品では、あくまでも被災者の視座から物語を紡ごうとしているようで、マクロの視点が欠けている。
おかげで、この地震がじっさいにどのくらいの規模で、社会がどのように変わってしまったのか、いまひとつ掴みづらい。
小川一水の「復活の地」が視点を高い位置に設定し、一般市民の視点を欠いていたこととは対照的だ。ここらへんは書き手にとっても判断がむずかしいところなのだろう。
また、いまのところはヒロインの二重人格ネタも浮いていると思う。ただ、これからこの設定がどのように物語にかかわってくるかはなんともいえない。期待して次巻を待ちたい。
無意味に巨乳のヒロインは好みがわかれるところだろうか。