しばらく前に第6巻を読んで以来ずっと放置していたのですが、ようやく読みあげました。栗本薫新撰組小説第7巻と第8巻です。

 とはいってもこの巻ではまだ新撰組は影もかたちもない。江戸の剣道道場に集まった近藤、土方ら野心家の青年たちが江戸幕府に仕えるため京へ向かい、沖田もしぶしぶついていくというのがこの2巻の内容です。

 そこに異世界で〈夢幻公子〉とよばれる沖田の前世の因縁が絡み、さまざまな魑魅魍魎が寄り集まってきます。

 ただふつうに新撰組の話を書けばよいものを、わざわざ異世界の物語を絡めてヒロイックファンタジーに仕立て上げてしまうあたりが大衆作家の心意気なのかなあ。

 とにかく歴史とファンタジーを並行して進めるせいで、お話はまったく進みません。上下巻かけて江戸から京都へ移動しただけ(笑)。

 小説には速度が重要だと考える向きはさぞ赦しがたい冗長さとかんじることでしょう。ぼくも半分くらいはそれに賛成するのですが、しかし長い長い物語をだらだら読み耽る快楽というものも世の中にはあるわけで、やはり読んでみればなかなかにたのしい。

 この世界で生まれ育ちながら異世界の記憶をもつ沖田は、土方らに惹かれながらも同調しきることはできません。そこらへんの孤独感の表現はやはり非凡なものがあると思います。まあ、気が向いたら次の巻も読んでみることでしょう。