その7 レイプと非レイプの境い目


 更新が遅れています。インターネットの調子が悪く、更新はともかく情報収集ができないこと、資料の読み込みに時間がかかっていることが原因です。

 こういうとき、最後まで書き上げてから順次アップすればよかったとしみじみ思うのですが、連載形式じゃないと意欲が持続しないんですよね。あうあう。

 さて、ぼくが更新を休んでいるあいだにネットでは中絶問題が話題にのぼっているようです。これを機会に井上達夫曰く「日陰者的主題」であるこの問題に少しでも光があたることになればよいと思います。

 それらのなかでも目を惹かれたのが「レイプされて出来た子供は堕胎して良いか」という記事。既に多数の言及がなされているようですが、ちょっとこの問題にべつの方向から光をあててみたいと思います。つまり、「レイプ」という行為をどのように定義づけるかということです。

 上記の記事ではレイプされてできたこどもを中絶することにも問題があるという立場のようですが、これはたぶん少数派だろうと思います。だから非難が集まるんですね。

 id:Leiermannさんもそうですが、妊娠中絶そのものには反対の立場をとるひとでも、ほとんどのひとが「レイプの場合は特別」と考えているようです。自分を強姦した憎い男のこどもを産んで育てていくのはさすがに可哀想だと考えるのでしょう。

 しかし、この場合の「レイプ」とはどのように定義すればよいものでしょうか。たとえば夜道を歩いていたら突然暴漢が襲いかかってきて暴行された、これはあきらかにレイプです。

 しかし、ふだんから定期的にセックスをおこなっている恋人、あるいは夫婦のあいだでもレイプは起こる。あるいは、レイプとまではいえなくてもかぎりなくそれに近いセックスというものもありえる。

 なんとなくセックスしたくない気分の日なのに、恋人に怒鳴りつけられて渋々セックスしたら妊娠してしまった。これはレイプ? 本当は避妊してほしかったのに、「大丈夫。絶対妊娠なんてしないから」と保証されてセックスしたら妊娠してしまった。これはレイプ?

 前者はまだしも後者は日本の法律ではレイプとは認められないでしょう。しかし、じゃあ、法的にレイプとは定義できないのだから産んでください、となるとこれはおかしいのではないでしょうか。

 レイプ以外のセックスはすべて問題のない、あるいは男性側に責任のないセックスであるとはいえない。ある意味では結果的に「望まない妊娠」をひきおこしてしまうようなセックスは、すべてなんらかの問題を抱えているといってもいいはずです。

 「レイプ」と「非レイプ」のあいだに境界線を設定し、「レイプ」はいろいろと問題があるから中絶してもOK、「非レイプ」はそういう問題がないから中絶してもらったら困る、というような言説は一面的だと思います。