ZOO 1 (集英社文庫)

ZOO 1 (集英社文庫)

ZOO 2 (集英社文庫)

ZOO 2 (集英社文庫)

 こちらも文庫化作品。異色作品十篇+ショートショート一篇を収録した短編集である。

 ハードカバーのときは一冊にまとまっていたのだが、文庫化にあたってなぜか二冊に分けられてしまった。短編集なのでどこから読んでも問題はないが、ここはやはり二冊とも買って帰って、特異としかいいようがない乙一の世界にひたってほしい。

 乙一作品の魅力は、その奇妙な発想と端正な文章、リリカルなセンスにある。その意味で、不条理な冒頭から凄惨な中盤を経て、感動的な結末を至る「SEVEN ROOMS」を本書収録作中の白眉としたい。

 しかし、この本の収録作はいずれもカテゴライズ不可能な特異な作品ばかりで、かるがるしく評価をくだすこともできない。感傷的かと思いきや突然残酷な顔を見せ、非情に語り尽くすかと見せかけておどろくほど優しい展開を生む、それが乙一の小説世界である。

 それにしても、この頃、新作が出ていないのでそろそろあたらしい作品を見てみたいところだ。「神童」としての十代、「天才青年」としての二十代を経て、これからの乙一がどのような成熟を見せてくれるのか、ぼくはおおいに期待している。

 ちなみに、かれはこんど結婚するそうである。これで生活費を稼ぐために執筆速度が上がったりしないだろうか。しないだろうなあ。いや、まあ、執筆速度はひとそれぞれだから、そんなに急ぐこともないんだけどね。

 「ジョジョの奇妙な冒険」ノベライズはどうなったんだろ。