神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のパズル (ハルキ文庫)

 文庫になったので再度紹介しておこう。小松左京賞を受賞した機本伸司のデビュー作。いままでありそうでなかった異色のハードSFである。

 はたして人間の手で宇宙を生み出すことはできるのか? 人工授精で生まれた天才少女穂瑞と、おちこぼれ学生の綿さん(ホームズとワトスン)が、人類史上だれも解き明かすことができなかった「神様のパズル」にいどむ!

 解説の大森望がくわしく書いているが、この作品の特徴は、スケール雄大なハードサイエンスの問題を学生たちの視点でえがきぬいたところにある。

 主役の穂瑞はどこぞのヴィクトリカのごときツンデレ美少女だし、しばしば晦渋な科学的議論がつづくにもかかわらず、全体の印象はきわめてライトかつポップ。はじめてこの小説を読んだときは、その軽妙さにおどろいたものである。

 ライトノベルレーベルから出ているわけではないので狭義のライトノベルには入らないかもしれないが、そのセンスの瑞々しさは現代ライトノベルの代表的作家たちに匹敵する。

 ただのキャラクター小説として十分におもしろいので、ふだんライトノベルしか読まないひとでも違和感なく入り込めると思う。「涼宮ハルヒの憂鬱」が終わったら京アニはこれを映像化してくれないものか。

 とにかくおすすめの作品なので、SF食わず嫌いなひともぜひ手にとってみてほしい。少なくとも文庫一冊ぶんの値段くらいの価値はある作品だ。