「ブギーポップ」シリーズ最新刊。前作「ロスト・メビウス」からちょうど一年ぶりの新作である。

 このシリーズは一般的な物語と異なり、特定の主人公をもたず、またある時間軸に沿って物語がすすんでいくこともない。個々の物語はそれぞれ独立していて、パラレルにならんでいる。

 そして、そのなかで薄皮をはがすようにこの世界の設定が明かされていき、ほんのすこしずつメタ物語がすすんでいくことがひとつの魅力になっている。この凝りに凝った構成は上遠野浩平ライトノベルにもちこんだものだといっていいのではないだろうか。

 その一方で長期シリーズ特有の難点もある。最大の問題は物語の筋立てに既視感を憶えるようになってしまったところだろう。

 上遠野という作家はどうやらあまりキャラクターの引出しが多いタイプではないらしい。どうも始終、おなじような少年と少女が主人公になっている気がしてならない。

 もちろん新作ごとに新たなキャラクター設定が用意されているのだが、それでもどういうわけか奇妙なほど似たりよったりの印象を受けてしまうのである。それが一種の倦怠感を生む。

 以前に比べて、作品のクオリティが落ちているということでは、おそらくない。ただ、ぼくたちは慣れてしまったのだ。上遠野浩平の紡ぐこの奇妙な世界に。泡のようにあらわれる自動的な死神に。

 いや、ほんと、「ブギーポップは笑わない」を読んだときはこんなに続くとは思わなかったもんね。つづくかぎり読みますけど。