新世紀エヴァンゲリオン (10) (カドカワコミックスAエース)

新世紀エヴァンゲリオン (10) (カドカワコミックスAエース)

 「新世紀エヴァンゲリオン」ほぼ二年ぶりの第十巻。テレビアニメ版の放映から既に十年の月日が流れたわけですが、この漫画版もついに! ようやく! クライマックスに突入しています。

 ここに来てその紙面はより洗練を増し、圧倒的な完成度のたかさを示しています。ていうか、この絵の巧さはどうよ? 綾波レイの死に際してシンジが流す涙のきれいなこときれいなこと。貞本さんの描線の繊細さはいまの漫画界でも一、二を争うものなのではないでしょうか。

 また、レイが散華する場面の心理描写は絶妙で、このある意味で「エヴァ」を象徴するキャラクターの最後を美しく盛り上げています。

 この漫画版はエキセントリックなアニメ版に比べて全体的に心理描写が丁寧な印象がありますが、なかでもこの場面では積み重ねてきたさまざまな描写が絶妙の効果をあげていて、ある意味でアニメを超えているとすら思います。

 そしてまた、漫画版では渚カヲルの登場が前倒しされているため、このあとの展開が微妙にアニメと異なっています。アニメの展開ではこのあとカヲルは最後の使徒としてエヴァとたたかい消えていくわけですが、漫画ではどうも同じ展開にはなりそうにない。

 貞本義行がこのもうひとつの「新世紀エヴァンゲリオン」に、いったいどのような結末を用意しているのか、予断を赦しません。いやあ、素晴らしい。

 それにしても、次巻はまた二年後なのかなあ。このぶんだと、完結まではまだ数年を要しそうです。