ダイヤモンド・エイジ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ダイヤモンド・エイジ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ダイヤモンド・エイジ〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

ダイヤモンド・エイジ〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

 ニール・スティーヴンスンの「ダイヤモンド・エイジ」が文庫化されたようですね。ぼくはハードカバーで読んでいますが、いやいやこいつは大傑作ですぜ。

 舞台となるのはナノテクの普及が世界を変えた〈ダイヤモンド時代〉の今世紀中葉。

 〈ネオ・ヴィクトリア朝〉の貴族が娘のために生み出した究極のインタラクティヴ教育ソフト〈若き淑女のための絵入り初等読本〉は、偶然から貧しい少女ネルの手にわたってしまう。

 だれも幼いこどもの手からソフトを奪い取れなかったため、そこからネルの地球を股にかけた冒険が始まることになる――。

 「スノウ・クラッシュ」もかなりめちゃくちゃな作品でしたが(マフィアがピザ配達を運営していたりする)、この「ダイヤモンド・エイジ」の混乱はそれを大きく上回る。

 近未来の話なのにヴィクトリア朝復権しているあたりは序の口、「いや、ナノテクだから」のひと言であらゆる無理を通し、細部にはどこまでも凝りまくり、華麗な語り口で異形の近未来社会を浮かび上がらせる、その手並みは芸術的といっていい。

 たしかにやたら情報量が多いせいで最初のうちはなにが起こっているのかよくわからなかったりするのですが、まあ、サイバーパンクだからそんなものでしょ。「攻殻機動隊2」に比べればだいぶ読みやすいはず。

 ポストサイバーパンクを代表するかっこよくてポップでキュートな小説なので、その手のものが好きな方はすぐに飛びついてください。素晴らしいですよ。