橋本紡「流れ星が消えないうちに」を読みはじめた。

 第四回電撃ゲーム小説大賞金賞を受賞してデビューしたこの作家の、はじめての一般文藝作品である。まあ、内容的には「猫泥棒と木曜日のキッチン」もほぼ一般文藝だったのだが、ともかく完全にライトノベルの枠のそとへ出るのはこれが初となる。

 読まねば、と思っていたら「BAD TRIP新装版」にタイミングよく批評が掲載されていた。以前、ぼくの愛する「猫泥棒と木曜日のキッチン」が一刀両断にされているので、今回も心配だったのだが、どうやら好評のようである。よかったよかった。

 橋本紡は、いま、上昇気流に乗っている作家だと思う。三年ほどまえに出た「毛布おばけと金曜日の階段」を読んだときはさほどとも思わなかったのに、この「流れ星の消えないうちに」はおどろくほど巧い。ひとつひとつのことばを選択する精密さが違う。

 こういう作家を追いかけるのは、たのしい。階段を駆け上がるように上達していくから、つねに最良の作品を読める可能性がある。

 「流れ星が消えないうちに」が橋本紡の最高傑作かどうかは、まだわからない。ただ、とても上品な、格調高い小説であることはたしかだ。いくぶんセンチメンタルではあるが、ひきこまれる。良い読書ができそうだ。