All You Need Is Kill (スーパーダッシュ文庫)

All You Need Is Kill (スーパーダッシュ文庫)

 人類は敗北を目前にしていた。

 ギタイと呼称されるなぞの敵をまえにして、人間たちの版図は減少を続ける一方だったのだ。

 そんな永久戦争のさなか、初陣の青年兵キリヤ・ケイジはある奇妙な現象に遭遇する。たしかに戦場で戦死したはずなのに、おなじ一日がくりかえす。何度倒れても、そのたびに意識はその日の朝に戻っていた。

 戦場からの逃亡すら無意味であることを悟ったとき、若者は繰り返す日々を利用して成長する道を選んだ。そして何十回というループは、臆病者の少年を人類最強の勇者へと変えていく――。

 非常に評判が良い作品だが、今年も幕を閉じるいまになってようやく読めた。なるほど、これはおもしろい。おもしろいなあ。

 戦場ものとリプレイものを組み合わせる発想がまず抜群。たった1冊できちんと終わっていることも好感がもてる。

 いや、むかしのSFは大抵1冊で終わっているんだけれど、最近はいいアイディアが浮かんだらできるだけ使いまわすのが常道だからね。むやみとひきのばすことなくきちんとまとめ上げたことは高く評価されていいだろう。

 ただ、そのぶんちょっと物足りなさがのこることも事実。あらすじから想像される魅力を上回るなにかはこの小説には薄い。

 もちろんじゅうぶんにおもしろいし、一気に読み上げてしまったのだが、傑作の域には半歩とどいていない気がする。神林長平の「ラーゼフォン」と足して二で割るとちょうどいいかも。