七剣下天山〈上〉 (徳間文庫)

七剣下天山〈上〉 (徳間文庫)

七剣下天山〈下〉 (徳間文庫)

七剣下天山〈下〉 (徳間文庫)

 読了。

 梁羽生。

 日本ではあまり知られていない名前ですが、中国ではこの名を知らぬものはないそうです。そう、かれこそは金庸とならぶ武侠小説界の巨人なのです。

 この「七剣下天山」はその梁羽生の代表作のひとつであり、ツイ・ハーク映画の映画「セブンソード」の原作。

 残念ながら映画のほうの評判は芳しくないようですが、これに合わせて翻訳された小説は、さすがの出来。金庸とはまたひと味ちがうたのしさがあります。

 金庸の偉大さは破天荒な想像力にあります。その奔放さは日本の歴史小説の規格をはるかに超えているといっていい。

 たとえば「倚天屠龍記」には主人公たちがたたかいのさなか、海に流されて漂流してしまう場面があります。「どのようにして戻ってくるのか?」と読者は考えるでしょう。

 ところがこれが戻ってこない。そのまま北極近辺まで流されてしまう(笑)。そして突然、「十五少年漂流記」か「ロビンソン・クルーソー」のような漂流文学が始まってしまうんですね。

 こういう読んでいて唖然とするような展開が続くのが金庸なのですが、梁羽生はそれに比べれば真面目といっていいでしょう。

 しかし、そのプロットはきわめて複雑で深遠。あまりといえばあまりの登場人物の多さにはじめは面食らいますが、次第にそこにこそ梁羽生の魅力があるのだとわかってきます。うん、おもしろいぞ。

 最高傑作と名高い「雲海玉弓縁」も翻訳されないかなあ。まあ、期待しないで待つことにしようっと。