- 作者: 森川ジョージ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/12/16
- メディア: コミック
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読了。
沢村対間柴戦、決着。
しかし、ぼくはこの結末にさっぱり納得がいかない。「はじめの一歩」の全試合のなかでも最もあと味の悪い試合だと思う。
そもそも序盤から不安要素はあった。沢村、間柴、両選手による反則の連続。潔癖なまでにクリーンな一歩の試合とは別世界のファイトがそこにはあった。
いったいこの試合はどこへいこうとしているのか、不安は高まるばかり。しかし、まさかこんな結末が待ち受けていようとは。
「はじめの一歩」のスポーツ漫画としての特徴は、地味な練習の場面を試合とおなじくらいの密度で描くところにある。
各選手のバックボーンを濃密に描きこむことにより、読者の感情移入が進み、試合の場面での説得力を生む。
しかし、今回は怨恨、憎悪、そして殺意――ふたりの抱えた暗い情念がすべてを飲み込んで終わってしまったように思う。
ここには、練習で積み重ねられたものが試合で爆発するあの爽快感は薄い。ただ、ひたすらに暗く、虚しい。
作者はなにを意図してこの試合を描いたのだろう。そして、「はじめの一歩」の長い長い物語のなかで、この試合はどのように位置づけされるのだろう。
この試合そのものは、作中でも語られているとおり、「最悪」の結果に終わったとしても、のちにその意味があきらかになることがあるかもしれない。
そうなるといいと思っている。これで終わってしまったのでは、あまりにもやりきれない。奈落の底に突き落とされた間柴がどのようにして復活してくるのか、期待したい。
いつのことになるやら、だけれど。