- 作者: 相田裕
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2005/12/17
- メディア: コミック
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読了。
「GUNSLINGER GIRL」第6巻。
ピノッキオとトリエラの死闘を経て、物語はこの巻から「第2部」に入ったといえるかもしれません。
ジョゼたちの過去が示唆される一方、「2期生」の義体少女が登場します。
いままでの少女たちとは印象が異なる彼女の名前は「ペトルーシュカ」。
ストラヴィンスキーのバレエ音楽から採られた名前ですが、彼女が以前バレリーナだったことは、本人すらもう憶えてはいません。
顔も、からだも、精神までも改造され、過去へつながる一切のものを失ったペトルーシュカを加えて、少女たちのたたかいがどんな方向へ向かうのか、要注目です。
それにしても、あいかわらず悪趣味な漫画だなあ。
バレリーナでありながら足を病み絶望したペトルーシュカの過去は、井上雄彦の「リアル」を思わせます。
しかし、「リアル」が絶望を乗り越えて成長していく少年を力強く描いているのに対し、「Gunslinger girl」では少女は絶望の果てに義体に改造されてしまいます。
しかも、皮肉なことに、その改造によって彼女は以前望んだ長身を手にいれることができるのです。
それだけならひとつの悲劇的なエピソードというに過ぎないけれど、問題はこういった悪趣味な、あるいは「せつない」エピソードがいくら羅列されても、それが物語上どのような目的をもっているのかいっこうにわかるようにならないということ。
「萌え」の欺瞞をあぶり出しているようでもあり、ただ悲劇性の快楽に耽溺しているようでもある。
この作品をどのように評価すればいいのか、その結末まで読んでみなければなんともいえないような気がします。