「タイム・リープ」。

 もしライトノベルから好きな一冊を選べといわれたら、僕はこの作品の名前をあげるかもしれない。ライトノベルが生み落としたSF小説のなかでも指折りの傑作だと思う。

 高畑京一郎にとっては「クリス・クロス」に次ぐ第二作目にあたり、「クリス・クロス」より格段に出来がいい。惜しいことにもう絶版らしいけれど、もし古本屋などで目にされたらぜひ読んでみてほしい作品のひとつだ。

 主人公はある平凡な女子高校生、あるとき、彼女は意識だけ未来へ「リープ」してしまう。混乱しながら帰宅すると、日記には書いた憶えのない文章がのこっていた。過去の自分は若松という少年に協力を求めるよう書き残しているようなのだが――。

 過去へ未来へと移動しながら時間のパズルが組み上げられていくおもしろさは、推理小説のそれに近い。タイム・リープのたびに少しずつなぞが解けていく快感。そしてさいごにはすべてのピースがはまるべきところにはまって、物語は大団円を迎える。

 その完成度はハインライン広瀬正の名作どころと比べても遜色ないだろう。「サマー/タイム/トラベラー」でも名前があがっていたしね。

 基本的には伏線の妙や構成の美しさそのものを味わう「構成萌え」の作品だけれど、キャラクターもみな魅力的。読み終えるころには、あなたもきっと若松くんを好きになっているはず。

 文庫版に入っている番外編は賛否両論だけれど――まあ、蛇足といえば蛇足かな。

 いまも大好きな作品です。