ヒストリエ(3) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(3) (アフタヌーンKC)

 読了。

 アッララララーイ、皆の衆(挨拶)。

 アレクサンドロス大王に仕えて歴史に名をのこすことになる男エウメネスの生涯(もしくは半生)を描く歴史絵巻「ヒストリエ」、待望の第3巻である。

 前巻で敵対者の罠にかかり、奴隷の身分に落とされたエウメネス。しかし、かれの冒険の旅は、まさにそこから始まるのだった。

 この巻の前半でエウメネスが感情を爆発させる場面は圧巻。ふだんは物静かにみえるエウメネスだが、決して無感情な人物ではない。その聡明なおもての裏には激しい怒りが息づいている。

 岩明均の感情表現は全体にきわめて淡白だが、だからこそ時に噴出する感情の激しさは強くつよく印象にのこる。そこらへんは「寄生獣」のころから変わらないスタイルで、ここに来ていっそう洗練されたきた感がある。第2巻で解放奴隷のトラクスが歓喜の涙を流すシーンも素晴らしかった。

 この巻は残酷描写も少なく、淡々と話が進んでいくばかりで、そういう意味では多少ものたりない。次の巻あたりに激闘ないし虐殺が待ち受けている予感がする。たのしみだ。

 いままでは岩明均といえば「寄生獣」、「寄生獣」といえば岩明均という印象だったが、この作品の登場でそれも変わるかもしれない。

 生涯の前半で歴史にのこる傑作をかき上げてしまった気分とはどんなものか想像もつかないけれど、その後も大きなプレッシャーとしてのしかかってくることはたしかだろう。いまに至って、その過去は塗り替えられようとしているようだ。目が離せない作品である。