読了。

 「銀盤カレイドスコープ」第6巻。ついこのあいだ第5巻を読んだばかりなのに、早いなあ。

 今回はタズサから視点が離れ、至藤響子とドミニク・ミラーの一人称で物語が紡がれる。タズサにとってライバルであるふたりの視点から眺めることによって、タズサの個性がよりくっきりと浮かび上がる仕掛けだ。

 ただ、今回は凝った構成がわざわいしていると思う。至藤視点とドミニク視点が交互に並び、彼女たちの苦難にみちた人生が綴られていくのだが、至藤視点が過去から現在へと素直に続いているのに対し、ドミニク視点では現在から過去へとさかのぼる形が採られている。

 結果が書かれてからその原因へ遡行することになるわけで、むやみにわかりづらい。たしかに緻密な構成ではあるが、効果をあげていないのではないか。

 構成といえば、シリーズ全体を通しての構成もいまひとつ。前々回でヨーコを、前回でキャンドルを視点人物に用いた意図はなんだったのだろう。

 おそらく二度目のオリンピックが舞台となるであろう次巻でこれまでの伏線が結実し、壮大なクライマックスを演出したなら拍手喝采ではある。しかし、こんなに伏線をはりまくって本当にたった1冊で回収できるのか、お兄さんは心配です。

 肝心のスケートシーンそのものはいままででも屈指の迫力。スポーツの躍動感をともかくも文字であらわしてのける筆力はたいしたもの。作者がフィギュアを愛していることはよく伝わってきた。