- 作者: きづきあきら
- 出版社/メーカー: ぺんぎん書房
- 発売日: 2005/09/26
- メディア: コミック
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読了。
――なんなんでしょう、このふつうに明るい恋愛漫画は。「氷が溶けて血に変わるまで」「ぼくのためのきみときみのためのぼく」「針とオレンジ」といった作品集でみられたあの情念の暗さはここにはありません。
盗聴とか、片足のない少女とか、こころの弱い人にだけできる肉腫とか、題材そのものはいつものきづきあきらなんだけれど、その処理がひどくノーマル。
そうじゃないだろ、きづきあきらの漫画ならもっと傷つけあったり憎しみあったり殺しあったりしないとだめだろ、と思うものの、これはこれで悪くはないのでゆったりと楽しみました。白きづきあきら作品集というか。隠そうとしても隠し切れないダークさがただよってはいるけどな!
ちょうど絵柄が変わっていく時期の作品を集めたからでしょう。本の前半と後半ではまったく絵のタッチがちがいます。ほとんど別人が書いているみたい。
前半の3作はわりとふつうに萌える作品なのですが(ストレートすぎておもはゆいくらい)、後半に収められている「シロクロ 願いをかなえたら」はあからさまな失敗作。
ふたりの魔法少女が妹に変身してねがいを叶えてくれる――というアレなプロットが、なぜか死亡事件につながってしまう黒さはさすがなんだけれど、全体的になんだかちぐはぐ。
同人誌時代からプロへ移行するさなかの混乱が楽しめるので、ファンなら買いましょう。まあ、お金を出して買ってもきづきさんのところには印税が入らないので*1、立ち読みで済ませてもいいんですけどね。
*1:http://blog.livedoor.jp/k_akira777/archives/50212936.html参照。ああ、しかし、「ヨイコノミライ!」は本当にただの厭な漫画で終わってしまうのか。なんてことだ。