たまには映画館でも行くかということで、「機動戦士ZガンダムⅡ −恋人たち−」を鑑賞してまいりました。アニメを劇場で観るなんていつ以来だろう。たぶん「千と千尋の神隠し」を観てからじゃないかと。

 本編開始前には「銀色の髪のアギト」の宣伝が流れていました。迫力の映像でしたが、まあ観なくてもいいかと(おい)。いや、だってさあ。たしかに全編通して観ないとなんともいえないけれど、どうも微妙な感じ。

 緒方剛志の絵が劇場の大画面で動いているところを観たいひとだけ観ればいいんじゃないかな。まあ、オリジナルアニメーションが劇場に流れるということ自体、かなり希少なことで、そういう意味では価値ある作品なんでしょうが――。

 それはともかく、ガンダムガンダム。たぶんみんな「恋人たち」というサブタイトルから、シンデレラ・フォウの悲劇を期待して観にいくと思うけど、そこらへんは意外とあっさり済まされてしまった印象(ていうか、終わってみるとメインヒロインはサラだったような。サラかわいいよサラ)。

 この手の泣かせるエピソードは、時間をかけてしっとりともりあげていく必要があるわけで、こういったダイジェスト作品じゃ厳しいんじゃないかな。

 そもそもこの映画を「物語」として見るのは非常に厳しい。あらかじめストーリーがあたまのなかにきちんと入っているマニア以外は、めまぐるしく変わる展開を追いきれないと思う。

 ただ、それでは終始混乱したままで終わってしまったかというとそうでもなく、ともかくも画面に集中できたのは、やはり編集技術の賜物なのでしょう。

 まあ、新作部分と旧作部分の違いは今回も露骨で、最初のあたりではちょっと顔をしかめてしまったけれど、話がすすむにつれて慣れてくる。とはいえ、フィルムにあからさまな断絶をのこすことが映画にとってプラスであるはずもないわけで、やっぱりふつうに作り直したほうがよかったんじゃないかと。

 新作画面のサラとかフォウは美しいのに、旧作カットになると急にぼやけた印象になってしまうのは観ていて苦しいものがあったよ。皮肉な話だけれど、ここ20年間でアニメーションがいかに進歩したかよくわかった。

 それから、この映画を観てあらためて思ったのは、はじめは「この社会の延長線上にある未来世界」として構想されたであろう「ガンダム」の世界が、いまとなってはパラレルワールドになってしまっているということ。

 よく「SFは腐る」といわれるけれど、「Zガンダム」の世界にしても、部分的に現実に追い越されてしまっている。フォウの話を観ていて思ったのが、なぜカミーユは彼女のケータイの番号をきかないんだろう、と(笑)。

 でも、おもしろいことに、それでこの世界がまるで魅力を失ってしまったわけでもないんだよね。この現実とはまた異なるパラレルワールドのドラマとして、じゅうぶんに鑑賞に耐える。まあ、そこらへんは、「ガンダム」が四半世紀にわたって積み上げてきた歴史と伝統の力なんでしょうね、きっと。