読了。

 非常に明るい表紙ですね。青い空、白い雲、颯爽とボートを漕ぐマリウスと黒衣の女性――あれ、これ、だれ? ここまで生真面目にシリーズを読みすすめている読者ほどとまどうことになるかと思いますが、読めばわかります。いやあ、ここでこの人が出てくるとわ。まあ、とりあえず生きていてくれてよかったよ。

 というわけで〈グイン・サーガ〉第104巻。パロをめざすグインとかれの道案内をつとめるマリウスの何回目かの珍道中の話で、どちらかといえば番外編的なエピソード。

 しかし、この巻ではのちの物語に重要な影響をあたえるかもしれないひとりの新キャラクターが登場します。たぶんそういうことになっているんじゃないかと思っていたけれど、現実になるとやはり感慨が湧きますね。

 わからない人はなにをいっているのかわからないでしょうが、わからないひとにわかるように説明するのは不可能なのでそういうものだと思っておいてください。

 ともすれば冗長になる展開はこの作品の最大の欠点でしょうが、この話は主要キャラクターがグイン、マリウス、なぞの女性、なぞの新キャラと4人しかいないので、わりあいすらすら進みます。

 この巻ではほとんど殺伐とした事件が起こらないし、非常に楽しく読めました。あやしげな騎士団などが出てきて、ぷち暴虐を働いたりはしますが、なに、ならず者の100人や200人、グインお父さんに任せておけば大丈夫でしょう。

 本当にひさびさに明るく健やかで懸念のないお話。本編でこんな話、何十巻ぶりだろう。ひょっとしたら初期のイシュトヴァーンが明るかったころ以来なんじゃないだろうか。次の巻もこんな調子だと読みやすいのですが。