復活の地 1 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地 1 (ハヤカワ文庫 JA)

 読了。

 王紀440年、いままさに外征を控えていたレンカ帝国を大震災が襲った。帝都は灰燼と化し、行政機能は停止、都市システムは破綻、事実上、国家は崩壊した。

 その地獄のさなか、植民地官僚であったセイオは、28歳の若さで国権の重要な責任を担うことになる。かれは離宮で飼い殺しにされていた姫を摂政の位に就け、長く険しい復興への道を歩みはじめるのだが――。

 と書くと災害SFのように見えるのだが、読みはじめてしばらくするとこれが災害小説ではないことに気付く。これはセイオによる災害復興のプロセスを綴った小説なのである。

 微妙に見えて決定的な落差。作者の視座は災害そのものにではなく、「災害にどう対応したか」にある。したがって、巨視的な観点からの災害の描写は詳細を極めても、天災によって人生を打ち砕かれたひとりひとりのドラマはほとんど見えてこない。

 作者の意図がそこにないことはわかるのだが、それでも違和感は禁じえなかった。そこは地獄だという。何十万人ものひとが死んでいったという。しかし、その災害によって人生を打ち砕かれた人間が「個」として見えてこない以上、悲壮感の抱きようがない。

 また、都市が壊滅状態に陥ったといっても、そもそも正常の状態を知らないのだから、具体的にどれだけ変わり果ててしまったのか実感が湧かない。

 結果的に生まるたものは、壮大で熱気にみちた、しかしどこか実感が薄いシミュレーション小説だ。読みやすいといえば読みやすい。しかし、どうも納得がいかない。

 野尻抱介「太陽の簒奪者」や山本弘「審判の日」を読んだときも思ったことだが、ハードSF作家の描くカタストロフィには、ときとして極端に血が通っていない印象を受けるのである。

第2巻の感想に続く。