最近、いろいろと名作SFの復刊をつづけている早川書房。この際、マイケル・ムアコックエルリック・サーガ」を復刊してくれないかなあ。正編6冊だけでいいからさ。その存在だけは知りながら読めずにいる若いファンもいると思うよ。

 まあ、いま映画化が予定されているらしいので、万が一実現したら復刊されるかもしれないけど。なんでも「ロード・オブ・ザ・リング」で名演をみせたクリストファー・リーが〈混沌〉の魔神アリオッチ役に当確しているのだか。

 この日記でも何度かとりあげているが、「エルリック・サーガ」はヒロイック・ファンタジーの名作中の名作である。暗く退廃的な世界観、これでもかというほど美しい文章、ひたすらつづく悲劇的な展開――名状しがたい麻薬的な魅力をもった作品だ。

 ちなみにこのシリーズは「永遠の戦士(エターナル・チャンピオン)」とよばれるさらに巨大なシリーズの一部でもあり、コルム、エレコーゼ、ホームクーンなど、ほかの世界のヒーローたちの物語と密接にかかわりあっている。

 でまあ、この「永遠の戦士」ものを続けて読んでいくと、ほかのシリーズを読んでいないとわからない描写が出てきたりして、全部そろえずにはいられなくなるんだよね。商売上手だよ、ムアコックは。全部おもしろいんだけどさ。

 とにかくまあ、巨大なルビーをそのまま彫刻した玉座(!)に座し、倦怠と疲労に包まれながら、モラルについての疑問に心悩ませるメルニボネ帝国の皇子エルリックは、僕が知る中で最も魅力的なヒーローのひとりだ。これを放っておく手はないと思うんだけど。

 エルリックは画像がないので、かれの転生のひとつであるホークムーンのサーガ、「ルーンの杖秘録」の画像を貼っておきます。ちなみに日本における「永遠の戦士」ものの表紙は(「堕ちた天使」を除いて)すべて天野喜孝です。