読了。

 橋本紡のわがまま美少女萌え難病泣かせ小説。なかなかおもしろかった。たぶんセカチュウよりだいぶおもしろいかと。非常に端正な小説です。とにかく文章がスマートで、すらすら読める。ライトノベルというより文藝作品として普通に巧い。

 ふだんは波乱万丈荒唐無稽、地球のひとつやふたつは軽く吹っ飛ぶような小説ばかり読んでいる僕ですが、実はこの手の文章の微妙なニュアンスで勝負する作品も嫌いではありません。

 以前も書いたけれど、こういう作品では書き手の技量が露骨に出てくるわけで、これだけ読ませれば立派なもの。ライトノベルとしてはめずらしいくらい淡白な小説なんだけど、アニメ化も決まったし、売れているらしいですね。よかったよかった。

 というわけでかなり良質な小説です。ただ、あまりにも型通りな印象はある。読むまえに想像していたイメージから1ミリもはみ出さない。ヒロインにしてからが「難病を抱えたわがままな女の子」という類型そのままで、この子独自の色というものが感じられないんですね。

 たしかに可憐だし、寂しげだし、魅力的ではあるのですが、微妙に輪郭がはっきりしない。いやまあ、好きなんだけどね、この手のキャラクター。

 プロットにしてもシチュエーションにしても、いくらなんでもベタすぎるんじゃないかと思うんだけど、これは僕が年寄りだからそう思うのかもしれない。電撃文庫の主要読者は中高生だろうからね。僕が中学生のころ読んでいたら素直に感動したでしょう。