わたしたちの田村くん〈2〉 (電撃文庫)

わたしたちの田村くん〈2〉 (電撃文庫)

 読了。

 時はこの本を読む前にさかのぼる(以下過去色)。

 わたしたちの田村くん」第1巻を読みあげた僕は、第2巻を読むべきかどうか迷っていた。第1巻の出来は微妙なのだが、とにかく続きが気になる展開なのだ。そんなとき、好都合にも「BAD TRIP」に続刊の感想がアップされていた。

結局、前にも書いたけど、この物語は1巻前半の松澤さんの話で充分完結してるんですよ。だから、今回のこの結果も当然予想通りだったんだけど、それゆえにそこに至るまでの過程が長く感じられて、何ともいやーんな気分になった。しかもこれ、一人称小説だしなぁ。二人の女性の間で揺れ動く田村くんの男心が鬱モードとかで語られてる場面にはちょっと辟易しました。といってもこれは作品的には必要な描写であるので、作者は悪くないけど。

もうね、読んでると思うわけですよ。好きな女の子がいて、なんだか自然消滅になってるっぽいところに違う女の子が登場してきて、しかも自分を好いてくれるって話なんですが、これで葛藤する男ってどうよ、とか考えちゃう。ウサギ娘が好きなんだから、ツンデレは捨て置いてとっとと駆けつけなさいと。というか、今回相馬はツンデレじゃなくないか? 話の構造、というか三者の関係だけ取れば、「君が望む永遠」みたいな三角関係でしたね。

 ああ、もう。みんなわりと褒めてるのに! うさぎっ子ハァハァとか、ツンドラ系萌えとか言っているのに! これだからコミケより古本祭を選んでしまうひとは! ツンデレのなんたるかがわかっていないよ!

 しかしこの感想を読んでなぜか続刊も読んでみる決意が湧いたのだった。ひょっとしたらおもしろいかもしれないじゃないか。ほら、「ホワイトアルバム」とか好きだし。「君が望む永遠」もわりと好きだし。「タッチ」映画化されるし。

 そして時は現代に戻る。

 あ、あれ? これはさすがに厳しいかも。ほら、「ホワイトアルバム」のゲームシステムは破綻しているし。「君が望む永遠」も後半は冗長だし。「タッチ」の映画化は微妙に不安だし。やっぱりまんが祭よりも古本祭だよね。

 前巻を読んだときも「なんだかなー」と思ったけれど、この巻はそれ以上に評価に困る。いくつかめだつ難点はあるが、致命的なのは田村くんがただの愚か者にしか見えないところだろう。

 話が進むほどに事態はこんがらがっていくわけだが、なにが悪いといって、簡単に二股かけようとする田村くんの根性が悪い。自分でもそう思うらしく、作中でさんざん自己嫌悪に陥るんだけど、あたりまえだ。もっと落ち込め。

 田村くんてば、ひとりで悩んで、ひとりで思い込んでいるだけなんだよね。それがおもいきり空回りして、周囲の人間を傷つける。かれの行動はあまりにも感情的だし、かれの言動はあまりにもエクスクラメーション・マークが多すぎる。

 ただ、こういったことがはたして本当に欠点といえるのかは微妙だ。小説とは、うまいへたではなく、読者に届くかどうかである。この作品の読者層がこれでよしとするなら、それでいいのかもしれない。

 ここで求められているものは、連続した物語としての完成度というよりは、各場面における快楽性なのだ。だから各々のキャラクターは激しく衝動的になるし、唐突に落ちこんだり復調したりする。

 その落差のあまりの極端さに僕のような読者は驚くが、たぶん気にしないひとは気にしないのだと思う。それはそれで正しい「読み」だし、非難されるようなことでもない。僕はさすがについていけないけどね。