読了。

 竹本泉の少女漫画家時代の単行本。ひまだったなので枕もとの本棚を眺めていたらなぜかそこに(以下略)。

 ふつうの漫画家は時代に合わせるために作風が変化していくものだけれど、そこは天才竹本、時代も流行も超越している。さすがに絵柄はだいぶ洗練されたけれど、基本的な作風は全然変わっていない。人生王道は学園ラブコメですよね、竹本先生。

 短編集だからけっこうふつうの少女漫画も混じっているんだけど、白眉は表題作「ちょっとコマーシャル」。何度読んでも変な話だなあ。この作品を読むとだれでも竹本泉がいかに天才かわかると思う。

 なぜかすべてのテレビ番組でコマーシャルが流れなくなって――という奇想小説っぽい冒頭はまだしも、このたねあかしはおかしい。絶対おかしい。ふつうの人はこんなこと考えない。

 メルヘンといえばメルヘンなんだろうけれど、こういうアイディアはいったいどこからわいて来るんだろう。いくら頑張って漫画かいても身につかないぞ、こればっかりは。

 掲載紙は「なかよしデラックス」だったりするんだけど、この作家は少年誌でも青年誌でも少女誌でも全然作風が変わりません。どの雑誌に載っていても必ず浮いているもんな。

 どんな殺伐とした雑誌でも竹本泉の漫画が載っているところはほわほわしている。それでいてかいている内容はいちばん変だったりするんだからたまらない。

 それにしてもこれ、20年近く前の本なんだけど、ぼくどこで買ったんだろう。謎。