45歳、もう生んでもいいかしら?

45歳、もう生んでもいいかしら?

 読了。

 タイトルをみればわかると思うけれど、作家久美沙織、45歳の妊娠出産エッセイ。おもしろかったよ。なにしろこちらは男性も男性、男性歴27年のベテランである。妊娠だの、まして出産だの、どんなプロセスを辿るものか見当もつかない。興味津々で読みあげた。

 結論。あたりまえだけれど、出産って大変そうだね。この本はインターネットでさがしても仲間がみあたらないくらいの高齢出産の物語だが、もちろん久美さんもしようと思ってそうしたわけではない。

 夫は獣医学界のブラック・ジャック(天才無免許医師)。かれならりっぱに子供を育て上げてくれるはずという目算もあり、妊娠出産育児を希望していたものの、なかなか妊娠しない。

 仕事も忙しくてそれどころではないこともあり、そのまま放置していたら、いつのまにか時は過ぎて、高齢出産になってしまった――ということらしい。

 そこからの展開は、こどもの先天的障害をしらべる検査を受けようかどうか迷ったり、妊婦特有の眠気になやまされて新幹線を乗り過ごしたり、波乱万丈多事多難。しかしそのなかでも日本における妊婦のありかたについて冷静なツッコミをいれることは忘れない。

 本書が安直な母性礼賛に陥らない所以である。いやまあ、さすがは小説家、よくもまあというほどいろいろ考えている。これから出産する予定のあるひとはもちろん、まったくその世界と縁のなさそうな僕のような男性でも(たぶん)楽しく読める一冊である。