「Eternity Line」の話。

 僕が前回のコミックマーケットで入手した2冊のうちの1冊(もう1冊はふつうのエロ漫画)。「Fate/stay night」の二次創作小説で、簡単にいえばキャスタールートの話。

 本編では、最愛の主を喪ったキャスターはあっけない最期を迎える。もしそのとき、衛宮士郎が彼女を救っていたとしたら――? そこから始まる新しい物語。

 昨日書いたように400ページ弱に及ぶ長編だが、前半3分の1くらいはほぼ本編とそう変わらない内容。はっきりいってここらへんはカットしても良かったと思うけど、どんなものだろ。

 そこから先でようやくオリジナル・エピソードが始まる。裏切り、裏切られてきた長い伝説の生涯のはてに、ようやく生きる希望を見出した黒衣の魔女。しかし、その儚い希望はあっさりと奪い去られる。生きる目標を失った彼女の未来とは?

 ああ、こんなふうに書くとキャスターさんがまるでいい人みたいだ。まあ、「愛よりなされたことは、つねに善悪の彼岸に起こる」(ニーチェ)というわけで、キャスターもきっとマスターを守るために必死だったんだろう。守れてないけど。

 キャスターひとりの生死を逆転させる「イフ」を起点に、もうひとつの聖杯戦争をシミュレーションしていくその後の展開はちょっとおもしろい。おとなしく士郎に協力するようなキャス子ではないわけで、いろいろとあるのである。

 ふつうならマスターを失ったサーヴァントは長時間の存在に耐えられない。しかし既に膨大な魔力を獲得しているキャスターはしばらくのあいだこの世界に在りつづけることができる――なるほど。

 そしてまた、ひとりのサーヴァントとしてのキャスターが、無辜の市民を虐殺しようとした魔女である以上、遠坂凛は彼女を保護する士郎を許容しない――なるほど。

 しかしこのキャスターさんは、さすがにちょっとかわいすぎなのでわ。本編では徹底的に悪役なのに、この少女のような女性とそれほど違和感がないのが凄いなあ。本編でのささやかなほのめかしがいかに高い効果をあげているかがわかる。

 しかしこの上巻の段階でサーヴァントはだれも死んでいないのだが、本当に下巻で完結できるのだろうか。そしてはたして僕は冬コミまで下巻を買いにいくのだろうか。すべては謎に包まれたまま、僕の感想も終わるのであった。