さきほど無事、2日間の東京紀行から帰宅しました。東京といえば、クウェイトより暑いといわれる炎熱の大都会、はたして生きて帰れるものか大変不安でしたが、結果的には無事でした。よかったよかった。

 この言い草は実は必ずしも冗談ではなく、出発前夜、突然鋭い腰痛に見舞われた僕は、なんと腰に姿勢矯正用のコルセットを巻いたまま出発したのです。

 自宅を出たのは14日の6時頃。その後、およそ40時間弱のあいだ問題を起こさずにいてくれた自分の腰に心から感謝したいと思います。

 以下、回想シーン。

 上記の理由で不安を抱えた旅立ちでしたが、泣き言をいっていてもしかたがないので、新幹線に乗り込むと腰のことは忘れます(痛いけど)。ロバート・A・ハインラインの「時の門」を再読したりしながらわりと楽しく2時間弱を過ごしました。

 この本はべつに暇つぶし用に持ってきたわけではなく、東京で石野さん所有のバリントン・J・ベイリー「時間衝突」と人質交換するための品なのです。

 読み返してみたら案外凡作だった、ということだとまずいので、一応確認してみたんだけれど、やっぱりおもしろかった。

 表題作は時間テーマの古典的名作で、主人公を打ちのめす超越的存在の影、その奴隷に成り下がった人類の描写、繰り返されるシニカルな言及、そしてあまりにもアイロニカルな結末――とひたすら暗い要素でできあがった小説。

 この作品から後年のあの超能天気作家を想像することはむずかしいでしょう。この路線でいったら国民的人気作家にはなれなかったでしょうね。しかしこの時期のハインラインは詭弁の天才だよなあ。かれが政治家になれなかったことは世界にとって幸運だったかも。

 などと考えているうちに東京駅に着いたので、さっそく石野さんとかんでさんにメールで連絡。かんでさんは既に列に並んでいるとのこと。おお、参加意欲十分ですね! 石野さんは起きたばかりとのこと。おお、あんまりやる気ないですね!

 やる気のない人は放っておくことにして、僕も会場へ向かいます。今回はルートはりんかい線経由の地下鉄ルート。東京駅って広いなあと感心したりしながら現場につくと、そこには既に長い長い行列が。とても最後尾に並ぶ気になれなかったので、列が動きはじめるまで待って入場します。

 そのあいだにかんでさんと連絡をとり、人の波に翻弄されながらもなんとか再会、いっしょに会場をめぐることに。ちなみにこのとき石野氏にもメールを打ったところ、「まだアニメみてる」との返答。あなた、ほんとやる気ないですね。

 さて、僕はほとんど欲しい本などないのですが、1冊だけ買って帰ろうと決めていた本があります。ここの新刊。表紙の泣き顔キャスターさんが萌え〜ということもありますが、それ以上に文庫369ページという分量が気にいったのです。小説とか、わりと好きだし。

 そこでかんでさんに協力してもらいながらその本を捜します。この日は前2日をはるかに上回る人手だったらしく、会場はとても混んでいました。あまりの暑苦しさに、周囲から時々うんざりしたようなうめき声が聞こえてくるほど。

 そうか。暑いか。でもお前らコルセット巻いていないだろうが! とフォースの暗黒面にひきずりこまれそうになったりしながら、なんとか目的の本を入手して、あっさりと僕のコミケは終わりました。

 そのあと元長柾木さんのコピー本を捜したりもしたのですが、僕が行った頃には既にソールドアウトしていました。それであっというまに用事がなくなったので、冷えた場所で昼食をとりながらかんでさんと2時間談笑。

 細かい内容は憶えていませんが、主に「しあわせは子猫のかたち」の素晴らしさについて語り明かしたことは記憶しています。あれはほんとに大傑作だよね。

 かんでさんはまだ所用があるらしいので、そこで別れて、今度は石野さんを捜します。携帯電話の力を借りつつ東館から西館まで移動すると、そこには床に座り込んで文庫本を読んでいる姿が。ひとのこといえないけど、この人、なにしにコミケまで来たのでしょうか。

 しかし、読んでいる本が氷室冴子「さようならアルルカン」だと気付くと、「無理もない」と思い直します。「さようならアルルカン」。久美沙織さんが「創世記」で激賞している伝説的な少女小説です。

 さっそくあとでよませてもらう約束をして、今度は西館をうろちょろ。しかしなかなか食指がのびる作品がありません。前回はもう少し購入したのですが。僕もオタクセンス落ちているなあ。

 その後、すっかり顔なじみになってしまったリッパーさんらと再会。この人たちは僕や石野さんと違って真面目にコミケを楽しんでいたらしく、たくさん同人誌を抱えていました。えっちなのはいけないと思います

 あまり遅くまで残っていると脱出不可能になってしまうので、3時ごろ、足早に脱出し、オフ会予定地の秋葉原へ移動。少々早く着きすぎて最寄りの店で時間を潰したりしながらも、無事、幹事の平和さんと合流を果たしました。

 約束どおり秋山瑞人「E.G.コンバット」の第1巻をもらって、ほくほく。帰りの新幹線で読んだので、たぶんあしたあたり感想を書くでしょう。

 このとき、草三井さん白翁さんさんと会えたのですが、残念ながら今回はほとんど話をする機会がありませんでした。まあ、またそのうちどこかで会うでしょう。

 これでネット上でやりとりがあるサイトの管理人さんとはほとんど会えたことになりますね。今後はオフ会行脚ももう少し控えようかな……。

 今回のオフは、「ライトノベル・ファンパーティー」管理問題とか「モノグラフ」は最近つまらないかという話など、いろいろと火種があります。

 僕としては「そこのところ、ほんとはどうなのよ?」と聞いて話をあおるつもりだったのですが、幹事の平和さんが懸命に場を穏やかに保とうとしていたのであきらめました。

 というか、どうしてあなたはその歳でそんなに如才ないんですか。くわしく聞いてみたところ、6歳で里子に出され、横暴な里親にいじめられ、その家の子供にはばかにされ、苦労したおかげで人間的に成長した、ということは全くないようでした。どうももともとそういう性格らしい。

 まあ、わいわいがやがや、楽しいオフ会でございました。それもこれも8時まで。この日は石野さんといっしょにくろさんの自宅に泊めてもらう予定だったので、またもえっちらこっちら電車で移動します。

 くろさんとは1年ぶりの再会でしたが、会って3分くらいで1年間が消し飛び、前回会ったときと同じテンションになりました。このときも最前のオフ以上にいろいろと話をしたのですが、主な内容は「森薫凄い」だったかも。なんだか去年も同じこと話したような。

 本棚にグレッグ・ベア「女王天使」を見つけたところから、「ベアってどうしてこう作品に出来不出来があるんでしょうねえ」などとという話も出ました。

 さらに「鏖戦」の話になり、「あれは凄いよねえ」と盛り上がったり、「輝く断片」の話になって、「あれも凄いよねえ」と盛り上がったり、あるライトノベルの話になって、「あれは全然凄くないよねえ」と盛り上がったり。

 せっかく東京に来たので、「かみちゅ!」の第1話をみせてもらったのですが、これは素晴らしいですね。さすがに「AIR」を観たときほどの衝撃はないけれど、その完成度にはひたすら驚嘆。こんなものがテレビで流される時代になったんだよなあ。凄い話。

 まあこの日の会話をくわしく書くといろいろな作品のファンに刺されるような気がするので、自主規制しておきます。くろさんは某有名アニメを観て大爆笑していました。あなた、そのうち刺されますよ。僕も変だと思ったけどさ。

 話は尽きなかったのですが、体は疲れきっているので、「さようならアルルカン」を読み上げてから、就寝することになりました。うん、名作。「清冽」という言葉は、この小説のためにあるのでしょう。

 翌朝、めざめてからも、「フタコイオルタナティヴ」の第1話を見せてもらったりして楽しく時間を過ごしました。うーん、おもしろいけれど、ちょっと雑然としているね。僕はこの日も所用があったので、14時ごろに石野さんやくろさんとはお別れ。

 その予定とは「プラネテス」のプラネタリウムを見ることだったのですが、目当ての博物館に行ってみるとなんと休館。そうか、よく考えてみれば月曜日は休館でもおかしくないよね。

 ちょっとがっくりしましたが、しかたがないから世田谷でラーメン食べて帰ることにしました。うるうるうる。そしていまここでこうして日記を書いているわけです。痛み出さないでくれてありがとう、腰。家に帰れなくなったらどうしようかと思ったよ。

 それにしても、今回の最大の誤算は、コミケで買った小説が、上下巻の上巻に過ぎなかったということ。下巻は冬コミ発売らしい。どうしよう。なかなかおもしろい本だったので、これについては16日の日記に書きます。