読了。

 ああ、これもAmazonに画像がないな。「フルメタル・パニック!」短編集第4巻。第1巻でも、第2巻でも、第3巻でもなく、第4巻。なぜいきなりここから読みはじめるかといえば、近所の新古書店でこれしか売っていなかったから。

 したがって、僕はこの本を正しく評価する資格がないことになるのだが、過去の経験からいって、この手の本は途中から読んでも大丈夫なように書いてあるはずだと判断したのだった。で、読んでみた。大丈夫だった。

 富士見ファンタジア文庫の人気作品は、「ドラゴンマガジン」での連載の関係だと思うが、短編と長編が並行して刊行されることが多い。なぜかたいていの場合、長編がシリアスで短編がお笑いである。

 「スレイヤーズ!」のように長編の刊行が終わっても短編集は延々と発売されつづけるものまである。いいかげん終わったほうがいいと思うんだけど……。

 「フルメタル・パニック!」もそのパターンで、短編はおおむねコメディ。いやあ、これ、おもしろいよ。普通におもしろい。これならいくらでも読める。よくできたライトノベルっていいなあ。楽しいなあ。愉快だなあ。と、すらすら読めてしまう。

 ただし、この巻に収録された「追憶のイノセント」は「短編には珍しくシリアスなお話」(あとがきより)で、ハードボイルドでセンチメンタルなショート・ストーリー。なぞめいた生徒会長の過去話。

 なんだか、火浦功のハードボイルド寄り作品の読後感に似ている(このたとえをわかってくれる人もいいかげん少なそうだけど)。以前から思っていたことだけれど、「泣ける話」というものは、優れたコメディセンスと裏腹なんじゃないかな。

 物語がクライマックスに至ると、そこまでのとぼけた会話や、コミカルな展開までが伏線となって、感傷的な結末を盛り上げる――本当の「泣ける話」とは、そういう作品であることが多いと思う。「明るさ」と「暗さ」、「泣き」と「笑い」は、裏表なのかも。

 また、巻末に付された100ページの中篇「エンゲージ、シックス、セブン」は、時系列的に「戦うボーイ・ミーツ・ガール」よりも以前にあたる回想譚。基本的に学園ものの本編に比べ、軍事色が強く、こちらも比較的シリアスな内容。僕的にはこっちのほうが好みかも。

 軍事SF繋がりで、なんとなくL・M・ビジョルドの「マイルズ・ヴォルコシガン」シリーズを思い出す。「フルメタル・パニック!」がお好きな人はこちらも――と言っても、読んでくれないかな。おもしろいんだけど。ヒューゴー賞を3回も4回も獲っているんだけど。

 この短編の主人公は特殊傭兵部隊〈ミスリル〉の女性幹部、マオ曹長。昇進にあたって自分の命を預けるに足る部下2名を選べとの命令を受けた彼女は、〈ミスリル〉の訓練施設で、軽薄きわまりないアメリカ人と、暗い顔をした東洋人の少年に出逢う――。

 うーん、シリアス。途中でギャグも入るが、おおむねシリアス。おおよそシリアス。これだけ読んでいると、この少年が将来日本の学園でどたばたコメディをやる運命とは思えない。歳月は人を変えるよね。いや、状況が変わっているのに、人格が変わらなかったことが問題なのか。

 しかしまあ、このシリーズ、短編集だけでもまだ8冊もあるんだよなあ。某石野氏などは、テッサ萌えの一年岩をも通すのかどうか、既刊9巻をさっさと読みあげてしまったそうだが、さすがに僕にはそこまでの情熱はない。ゆっくり読もう。ゆっくり。