読了。

 これも十数年ぶりの新作だなあ。表紙だけみればどうみてもボーイズ・ラブ系ですが、そしてじっさいそういう小説にまざって置いてあったのですが、SFです。

 「特捜司法官S−A」。麻城ゆう&道腹かつみによる漫画「ジョーカー」の番外編にあたる作品で、漫画が太陽系を股にかけ活躍する特捜司法官スペード・エースの活躍をえがいています。

 僕はこのシリーズ、ウィングスコミックスで出ていたころから好きで、「続編でないかなあ。でないだろうなあ……」と思っていたのですが、いまこうして新シリーズがはじまりました。いや、めでたい。

 主人公はテレビの超人気番組「特捜司法官スペード・エース」を演じる役者、秋津秀。かれは偶然から本物のS−Aと知りあい、友人づきあいをするようになります。

 しかしS−Aは太陽系を牛耳る「特捜司法局」によってつくられた人造人間、人間をはるかにうわまわる頭脳と能力を持ちながら、犯罪者狩りのみにその力を限定された特捜司法官。

 秋津は自分の人間性を認めようとしない彼をあくまで人間としてあつかおうとし、そのたびに拒絶されることになります。この秋津とS−Aの微妙なかけひき、おとなのやりとりが本作の魅力でしょう。

 今回はそこに天然ぼけ美少年セドナが加わって、複雑に錯綜した関係がえがかれます。それにしてもネオ・ヒューマンって本当に美しく見えるのかね。スタイルが良いという次元を越えて気味が悪いんじゃないかと思うんだけど……。

 あとがきにも書かれているとおり、ここから読んでもさほど問題ないとはいえるのですが、やはり旧シリーズや「ジョーカー」(いまならまだ文庫版は手に入るはず)を読んでから手を出したほうがいいでしょう。

 秋津とS−Aがどうやって出逢ったのか知っているのと知らないのとでは、物語のこくと味わいが全然ちがってくるはず。続刊が楽しみだなあ。六道リィン、出てこないかな。