闇のイージス 20 (ヤングサンデーコミックス)

闇のイージス 20 (ヤングサンデーコミックス)

 読了。

 あいかわらず素晴らしくおもしろい。リアリズムを徹底的に排し、どこまでもヒロイックに紡がれる物語は、現代を舞台にした騎士道物語の赴き。今回は比較的地味なエピソードではあるけれど、これは往年の名作「ジーザス」を越えたかもしれない。

 裏社会で絶対の信頼をこめて語られる「護り屋」楯雁人。銃弾をも受け止める機械義手と高度な格闘技を使いこなし、つねに沈毅な物腰を崩さないまま依頼人を護りぬくこの男が物語の主人公。腰まで血に染まった殺し屋ジーザスとは対照的な造形だ。

 この寡黙なる「闇のイージス」に彼のエージェントである少女アナ、無痛症の殺し屋ゼロ、洗脳の天才「天使」、謎のテロリスト「蝶(バタフライ)」、前述のジーザスや〓オールドギース〓梶原、ゲイザー機関、「カウフマンの弟子たち」といった群像が絡み合って物語は進む。

 派手なアクションも見所のひとつではあるが、ギリシャ神話の「イージスの楯」に由来するタイトルをはじめとする寓意的なネーミングが、この作品に狭い意味での格闘アクションコミックの限界を越えた、神話的な深みを与えている。ここで繰り広げられるのは光と闇、法と混沌の宇宙的な攻防なのだ。

 基本的には一話完結の短編ないし中篇エピソードが続くのだが、「天使」や「蝶」といったなぞめいた敵対者たちが縦糸となり、物語の連環を繋げている。ひとつの闘争の終わりは次なる戦闘のはじまり、不殺の護り屋のたたかいはいつはてるともなく続いていく。

 いつの日かはてしない闇に一条の光が差し、楯の心に平安がおとずれる時が来るのだろうか? それとも光と闇のたたかいは永遠の宿命なのか? 僕はといえば、30巻以内くらいできれいに終わってくれるといいなあ、と思いながら今日も読みつづけるのであった、とさ。