火の山 グイン・サーガ(102) (ハヤカワ文庫JA)

火の山 グイン・サーガ(102) (ハヤカワ文庫JA)

 読了。

 前巻で豹頭の戦士グインの刃にかかったイシュトヴァーンは、夢のなか、いままでの生涯を想う。よるべない孤児の頃、売春と賭け事で生計をたてた少年時代、仲間たちとの出逢い、別れ、そして火のような野心に焼かれるまま殺人王となっていった青年時代を。

 一方、ようやく巡り会ったグインとスカールも山火事のなかで死に瀕していた。圧倒的な自然の猛威を前に、さしもの狂戦士たちの命も風前のともしび。病のせいもあり瀕死のスカールは、最後にグインと戦いたいと言い出すのだが――。

 ふつうの冒険小説としてふつうにおもしろいなあ。第100巻以降、またちょっと雰囲気が変わって、陰惨な空気が薄まったような気がします。長年読んできた読者としてはイシュトヴァーンの変化が嬉しいですね。まるで長い長い迷路をようやく抜け出したよう。

 かれの心に深く根を張った焦燥や、不安や、孤独感が、これですべて癒されるとは思えないけれど、少なくともなにかは変わったはず。ほんとうにこの男は、世話が焼ける……。順当に行けば次の巻あたりでケイロニア軍と合流ですが、さて、どうなるやら。お手並み拝見。