煉獄のエスクード RAINY DAY & DAY (富士見ファンタジア文庫)

煉獄のエスクード RAINY DAY & DAY (富士見ファンタジア文庫)

読了。

「それの解読のために、何人もの人間が発狂し、命を失った」

 フランスの古書店で発見された一枚の紙片。それには呪われた文字で「扉(ゲート)」の場所が記されていた。

「やつらは人の肉を喰らい、血を啜る」

「扉」――それは魔界とこの世を繋ぐ門。その封印が破れた時、世界は「魔族(エビル・レイス)」に蹂躙され地獄と化す。
 退魔の妖剣ブラディミールに選ばれてしまった少年・深津薫は、教皇庁の影の組織エスクードの一員となり「扉」を封印する力を持つ美少女「レディ・キィ」の護衛の任務につくことになる。

「やつらにレディ・キィを奪われてはならない。護れない時はお前が彼女を殺せ」

 17歳の少年に託された残酷な使命……。だがそれは、薫の長い闘いの始まりにすぎなかった――。
 大賞受賞作家本格始動! 現世と地獄のハザマで魔族と闘う戦士たちの壮絶な生き様を描くネオ・ハード・ロマン登場!

 「12月のベロニカ」以来2年半ぶりとなる待望の第二長編は、現代日本を舞台とした伝奇小説。梗概だけ取り出せば恐ろしく凡庸だが、じっさいに読んでみると予想よりはるかにおもしろい。山田章博が漫画化したら凄いものができると思う。

 物語は、日本にローマ法王が来日する場面から始まり、魔界へ繋がる門をひらく鍵となる少女を巡って、教皇庁の退魔機関エスクードと、魔族(エビル・レイス)の血で血を洗う凄惨な(ほんとうに凄惨な!)死闘がくりひろげられる。

 あまりにも平凡な展開が続く序盤はもたつくが、全編にわたってはりめぐらされたいくつもの伏線がひとつの集束していく終盤は圧倒的に盛り上がる。主人公の少年が全然活躍しないのが難点だが、それはまあ次巻以降に期待することにしよう。

 傑作ではない。欠点は、いくつも挙げられる。しかし、あとほんのすこし何かが加われば、本当に素晴らしいものが見られるのではないか。そんなふうに思わせる作家であり、作品である。すくなくとも「12月のベロニカ」から成長していることは間違いないので、期待をこめて次巻を待ちたい。

 それにしても、どう考えても人類に勝ち目はないと思うのだが、この先いったいどうなるんだろう? そもそもいままで人類はどうやって魔族とたたかってきたんだ? 第1巻だけでシリーズ完結なんてことにならないといいけどなあ。