花よりも花の如く (3) (花とゆめCOMICS (2743))

花よりも花の如く (3) (花とゆめCOMICS (2743))

 読了。

 前作「NATURAL」で脇役だった能楽師の青年を主人公にした能漫画、遅々とした展開の第3巻。「NATURAL」の最終巻に掲載された二本の読みきりは素晴らしいのですが、こちらはどうもいまひとつ物足りないような。それとも僕が奥底にあるものを読みきれていないだけか。成田さんの作品はどんどん「秘すれば花」の境地に近づいていますな。

 物足りなさの一因は主人公の性格にあるかも。基本的に真面目、熱心、稽古は休まず修行はやめずの能オタク青年の憲人は、その弟の超イケメンキャラ西門に比べると華やかさに欠けるんですね。もちろん作者もそれを知っていてあえて彼を主人公に据えたんだろうけど。このどちらかといえば地味な青年が、舞台の上では「花よりも花の如く」舞い踊るその奇跡。

 でも、やっぱりこのまま短編連作のまま終わってしまうのではなくて、もうちょっと長いお話を読みたいよねえ。成田さんはもう何十年も漫画化生活をしているのだし、体力的に厳しい面もあるでしょうが、ここはひとつ長編でのあの目も覚める構成力を発揮してもらいたいものです。や、能の場面はやっぱりめちゃくちゃ美しいんですけどね。幽玄の世界。

 余談ですが、憲人と西門の妹がめちゃくちゃ可愛くて、僕、この子は「NATURAL」に出ていたころから贔屓だったんですが、なんとかしあわせになってほしいと思わずにはいられません。だいたい僕はこの手の脇役で、主人公に失恋してしまうようなキャラクターに弱い。運命=作者に選ばれなかった存在の悲哀に興味があるのかもしれません。ラブ。