時をかける少女 (2) (角川コミックス・エース)

時をかける少女 (2) (角川コミックス・エース)

 読了。

 熱烈な「時かけ」ファンとしてしられるゆうきまさみとり・みきの帯が付された漫画版「時をかける少女」。原作の刊行より数十年が経って、あまりにもいまさらの印象をあたえるコミカライズではありますが、読んでみるとこれが悪くない。

 昭和の時代的制約に縛られた原作の長所を上手く換骨奪胎し、オリジナルなタイムトリップ・ラブロマンスに仕上げている。

 原作のリリカルな情感はそのまま、細部は現代風にアレンジしてあり、いまの時代に通じるせつない恋の物語になっている。少なくともいまさら筒井康隆の原作を読むよりは遥かにおもしろいはず。

 しかし、やはり骨格は何十年もむかしのものなわけで、印象が薄いことは否めない。「冬のソナタ」や「世界の中心で、愛をさけぶ」をはじめとするせつなさ濃縮系エンターテインメントが流行する昨今、この作品のリリシズムはいたっておとなしいものに見えてしまう。

 なによりこの分野にはすでに高畑京一郎タイム・リープ」という傑作があるわけで、どちらかといえばツガノガクにはこの小説のほうを漫画化してほしかった(しかたないけどさ)。

 というわけで、リリカルに飢えている人にはオススメながら、いまひとつ物足りない佳作なのだった。でも、この作家には今後注目。