読了。

 ふつうにおもしろい。シンちゃんがめちゃくちゃ気の優しい良い子でもうどうしてくれようかと。

 内容的には(エヴァのキャラを流用していることを除けば)ごくありふれた学園ものなのですが、さまざまな意味で頽廃的なまでに進化した漫画を読みなれたいま、こういったシンプルな作品はかえって新鮮に見えます。

 「あなたと私のGAINAX」最新回でもちょっと触れておりますが、最近の漫画やアニメやゲームの物語なりデザインは異形なまでに先鋭化していて、わけのわからないものになっていることが少なくない。

 たとえばある人がとても目が大きいキャラクターをかわいく描いたとする。そうすると、そこに快楽性を感じ取った別の誰かがもっと目が大きいキャラを描く。

 そしてまたほかの誰かがさらに目の大きいキャラを描き――こうして生身の人間には絶対にありえない、もしまったくそういった絵柄について知らない人にみせたらそもそも目として認識されないのではないかと思われるほど巨大な瞳をもったキャラクターが生まれる。

 こういうことをあらゆる側面でくりかえしたあげく、外からみると考えられないような異形の作品がいくつも生まれてきたのだと思います。これは基本的にチェスタトンの考案したトリックをエラリー・クイーンが改良し、島田荘司がそれを受け継ぎ――みたいな展開と同じだと思う。

 あるいはすべて文化とはこのような模倣と逸脱の末に進化していくものなのでしょうか。しかしそういったはてしない進化の樹の先になった果実が、ある意味でハードルの高いものなっていることもたしかで、そういった作品を読んでいて倦怠感を感じることも多々あります。

 だからたまには平凡ではあっても爽やかな作品を読みたくなるのでしょう。さんざん珍味を味わったあと、美味しいお茶漬けを食べたくなる気分というか。