GOSICK―ゴシック (富士見ミステリー文庫)

GOSICK―ゴシック (富士見ミステリー文庫)

 読了。

 こちらはなかなかおもしろかった。「ライトミステリ版ヘンリー・メリヴェール卿」こと美少女探偵ヴィクトリカ(貴族であることと毒舌家で傲慢な性格しか共通点がない気もするが)の活躍をえがくミステリ風アドヴェンチャーノベル。

 パズラーとして見るとかなり弱いけれど、過去と未来を交錯させつつサスペンスを高めてゆくストーリーテリングはなかなかのもの。この動機は凄く納得がいく。これじゃ殺したくもなるよな。

 なにより主人公のヴィクトリカがかわいい。まさに正しい萌えミスである。時代は第二次世界大戦前夜で、その設定がちゃんと物語に絡んでくる。

 田中芳樹はこういったヨーロッパにおける架空の国家を舞台にした冒険小説を、アンソニー・ホープの「ゼンダ城の虜」(名作。いま読んでもおもしろい)に登場する国の名前から採って「ルリタニア・テーマ」と呼んだが、本作もその系譜にならぶことになるだろう。

 舞台が架空の国であることがあまり活かされていないのは不満だが(舞台がイギリスでもべつに問題なかったような気がする。ひょっとしたら次刊以降かかわるのかもしれないけれど)、まず期待にたがわぬ出来といって良い。

 もちろん「こういったもの」を好きなひと以外には無価値だろうけどね。次も買うかも。