レヴォリューションNo.3

レヴォリューションNo.3


 読了。

 さあ、ベイビー、革命のお時間だ。

 金城一紀直木賞受賞後第一作「レヴォリューションNo.3」は、革命と革命家の物語、平凡な退屈な常識的な日常にレヴォリューションを巻き起こそうとするオチコボレ高校生たちの冒険をえがく痛快な連作小説だ。

 僕がこう書けば、おとなの社会の現実をよく知るだれかが、シニカルな微笑を浮かべていうかもしれない。革命? 冒険? そんなのもう流行らないよ。チェ・ゲバラのTシャツでも着てぴかぴかのモデルガンを振りまわすつもりかい?

 そう、革命家の時代は、すくなくともこの国では、とうのむかしに終わってしまった。ぼくらが住む泰平と不況の現代日本では、なにもかもがニュートンの第一法則の実験さながら、慣習と惰性で動いている。

 しかしそんなよどんだ時代でも、世界を変えようともくろむやつらはちゃんと残っている。それがザ・ゾンビーズ。新宿区最悪のオチコボレ高校に通う生徒たちのなかで、自分たちなら世界を変えられると信じた連中が結成した集団だ。

 かれらは革命の手始めに、近くのお嬢様学校の学園祭に乗り込んで彼女をゲットする計画をたてる。頭をよくする遺伝子と悪くする遺伝子をめぐりあわせて、遺伝の停滞をぶち破るんだ!

 ゾンビーズのなかには史上最悪の運勢の持ち主もいれば、親がひとを刺して刑務所のなかにいるやつも、マッチョなコリアン・ジャパニーズも、白血病で死にかけている少年もいる。

 しかしここに差別はない。みんなただの友達だ。たとえ勉強はできなくても、絶対に友達を裏切ったりしない最高の仲間。

 そう、もちろんほんとうはだれも世界を変えたりできやしない。なぜなら僕たちはみんな知らないだれかが勝手に決めたルールのなかで生きているのだから。

 ほんとうは勝負はリングの外ですでについてしまっているのだ。だけど、いやだからこそ、走れ、少年たちよ、走れ。退屈な区分が追いつけないくらい速く。世界のはてまで走りぬけ! それが、革命だ。